パニック症は、突然理由もなく、息切れや動悸など、強い不安を伴うパニック発作が生じます。そして、パニック発作を繰り返すうちに、発作に襲われることに対する予期不安や、発作が生じる状況に対して広場恐怖を感じるようになり、日常生活に支障が出てきます。
パニック発作とは、突然息切れや動悸、吐き気、体の震えや痺れ、めまいやふらつき、「このまま死んでしまうかもしれない」という強い不安などが何度も繰り返し現れ、パニック症の中心となる症状です。体の不調がある時(例:睡眠不足、過労)、緊張している時や逃げ場がないと感じる時(例:公共の乗り物やエレベーターの中、車の運転、美容室や歯医者さん、人混み、会議中)、以前パニック発作を生じた場所などで起こりやすくなります。
予期不安とは、「また発作が起きるのではないか」とパニック発作が生じることに対して生じる不安のことです。広場恐怖とは、以前パニック発作を生じた場所や状況に対する恐怖で、それらを避けるようになり(回避行動)、行動範囲が狭まっていきます。
治療法として、薬物治療(代表的なものとして、SSRI、ベンゾジアゼピン系抗不安薬、三環系抗うつ薬)や精神療法(支持的精神療法、認知行動療法、自律訓練法など)があります。支持的精神療法では、話を聴いてもらうことで心がホッとし、抱えている悩みや不安を客観的に見つめ直すことにつながっていきます。認知行動療法は、認知(思い込み、捉え方、考え方、学習)の誤りが予期不安や広場恐怖を引き起こすと考え、認知を修正していく療法です。その中でも、広場恐怖の改善に広く使われているものが「暴露療法」で、恐れている状況や避けたい場所に少しずつ慣れてもらい、不安や恐怖を取り除いていきます。通常は専門の医師や心理士と行いますが、自分でできる方法を紹介している書籍もありますので、興味のある方は手にとってみてください。自律訓練法は、予期不安や広場恐怖などの症状をやわらげるだけでなく、疲労回復や勉強・仕事の能率向上、気持ちの安定など、日常的なストレスの軽減にも役立つリラクセーション法です。
そして、自分自身の心の持ち方や、日常生活での対処法を考えていくことも大切です。治療者や周りの人たちと相談しながら、不安の軽減につながる方法を探していきましょう。
(心理 Y S 記)