企業（官公庁）の産業医、保健師、臨床心理士ならびに健康相談室担当者様へ
昨今の経営環境の厳しさが増す中、多くの職場で業務の質的、量的変化などに伴う心身の負担の増加が懸念され、心の健康問題により休職している人の割合が増えているという報告があります。これに関し、外注を含め、企業の実施するメンタルヘルスケアが積極的に実施されるようになり、うつ病をはじめとする心の病を抱えた社員・従業員の方が、比較的病状の軽い段階で気づかれるケースが増えてきました。心の病も、早期に発見し早期に治療することでご本人の苦痛のみならず、企業にとってのさまざまな損失を最小限に食い止めることが可能になります。当院では、これまで多くの企業や官公庁の健康相談室に携わる皆様と連携し、職場での心の健康回復のお手伝いをさせていただいております。
1.うつ病および職場不適応症について
うつ病は「生命のエネルギーが不足している状態」と説明されます。就労しながら受診してこられる方の中には出勤がつらくなったり、出勤したとしても仕事の能率が低下し、たいへん辛い状態に陥っている方が少なくありません。不眠や食欲低下、頭痛や嘔気などの身体的不調を自覚して職場の健康相談室を訪れることで、うつ状態を疑われご紹介いただくこともあります。それに加え、職場での人間関係で心が疲弊し、自力で対処しきれずに体調不良、欠勤や遅刻、仕事上のミスなどを来す適応障害の方も少なくありません。うつ病は早期に治療を開始すれば、それだけ早くよくなります。初期徴候を軽視せず、早期診断と早期治療に心がけることで、ご本人にとってもまた会社にとっても苦痛と損失を最小限に食い止めることが可能になります。
2.リハビリテーションとカウンセリング
出社できない、出社しても仕事にならないほど症状が進んだ場合は、会社を休むことが必要になります。休養には月単位の時間がかかることが少なくありません。有用な治療薬が実用化されておりますが、服薬を始めて効果が出現するまでには時間を要します。ちなみに、病気休養の開始にあたり診断書を作成することが求められますが、休養を要する理由に加え、復職を計画的に行えるよう、必要な療養期間を明記します。一方、職場復帰にあたっては、その間に低下した体力のみならず知的作業能力や対人関係能力に関するリハビリテーションを要することもあります。日常生活の中での過ごし方について助言・指導する一方、より本格的な社会復帰プログラムの利用が必要と判断される方に対しては、公的機関などで提供されるリハビリテーションプログラムへの紹介を行います。また、一連の病休から復職に至る過程における精神状態を心理検査での評価を行いながら、特に不安焦燥の強まる復職前から復職後にかけて、臨床心理士による心理療法を提案する場合もございます。
3.職場との連携
病気休養後の復職においては、短時間勤務や残業を控えるなどの勤務措置が必要になり、病気休養中、あるいは職場復帰後の職場としての対応の仕方は、その方の病状のみならず職場の受け入れ体制により、個別に相談しながら検討することが求められます。病状の回復状況や、業務遂行能力について評価しながら職場復帰の可否について判断します。その際、患者様のプライバシーに配慮し、「復職診断書」など書面上での連携のみならず、必要に応じて人事担当者や保健師・臨床心理士の方など関係する皆様との面談を設定します。ここでは、具体的疾患名が必要とされるわけではなく、復職にあたり、職場で配慮すべき内容が中心となります。一般に、現職への復帰が原則とされていますが、適応上の課題を有している方は配置転換や異動を検討した方が良い場合があります。患者様が最適の就労環境で職場に戻り、本来の能力を一日も早く発揮できるようお手伝いすることを心がけております。
4.受診方法について
当院はJR道ノ尾駅・バス停から至近距離（概ね徒歩5分）に位置するとともに、40台の駐車場を完備し、平日は18時30分（木曜は13時まで）、土曜は14時まで診療しております。また予約優先制のため診療待ち時間が短く、スケジュール管理もしやすくなっております。初診される場合は、患者様ご本人から受付にお電話をいただき、ご相談の上受診の日時を決めさせていただいております。健康相談室の方から受診をお勧めいただく場合、必ずしもご紹介状が必要とは限りませんが、診療情報提供書の形で職場での問題点やご相談内容などをお書き添えいただけますと、ご要望に添ったお返事を差し上げることができます。
