転勤、転職、昇進、異動、仕事復帰、子どもの進学…春先は仕事環境や生活環境が大きく変化する時期です。何事にも一生懸命で、几帳面な人だと、その変化に対応しよう、完璧にしようとして努力をするものの、結果的にストレスをため込んでしまうことがあります。そして、休養や気分転換などがうまく取れずに、眠れない、不安、気分がスッキリしない、疲れがとれないなど、心身の調子を崩してしまうことがあります。転勤、転居、進学など生活環境の変化は、新しい場所で頑張ろうという適度な緊張感とモチベーションを高くするという嬉しいメリットもありますが、そう感じることが出来ないという場合もあります。
日常の出来事 | ストレス度 | 日常の出来事 | ストレス度 | 日常の出来事 | ストレス度 |
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配偶者の死 | 100 | 仕事上の変化 | 39 | 個人的習慣の変更 | 24 |
離婚 | 73 | 経済状況の変化 | 38 | 上司とのトラブル | 23 |
夫婦別居 | 65 | 配置転換・転勤 | 35 | 転居 | 20 |
近親者の死亡 | 63 | 夫婦喧嘩の回数増 | 35 | 転校 | 20 |
けがや病気 | 53 | 100万以上の借金 | 31 | 趣味・レジャーの変化 | 19 |
結婚 | 50 | 担保・貸付金の損失 | 30 | 社会活動の変化 | 19 |
失業 | 47 | 仕事上の地位の変化 | 29 | 宗教活動の変化 | 18 |
夫婦の和解 | 45 | 子女の結婚 | 29 | 100万以下の借金 | 17 |
退職・引退 | 45 | 親戚関係とトラブル | 29 | 睡眠習慣の変化 | 16 |
家族の病気 | 44 | 個人的な成功 | 28 | 同居人との関係の変化 | 15 |
妊娠 | 40 | 入学・進学・卒業 | 26 | 食生活の変化 | 15 |
家族が増える | 39 | 生活リズムの変化 | 25 | 長期休暇 | 13 |
上記の表は、1968年にアメリカの精神科医Thomas HolmesとRichard Raheによって発表されたライフイベントとストレス指標です。ストレス量を意識することに役立ちます。この表の興味深いところは、ストレスとして「配偶者の死、離婚、病気」といったネガティブなことの他にも、「結婚、昇進、長期休暇」といった一般的にはポジティブと考えられることも同様にストレス源になることを示している点です。この頃のストレスに関する研究では、生活の中で感じるストレスフルな出来事をいかにうまく乗り切るか、という点が重視されています。
このようなストレスへの対処のことを心理学ではストレス・コーピングとよびます。コーピングには2種類あり、1つはストレスの原因それ自体を変化させることを目的とするコーピングです。例えば、思い切って職場を変えたり、付き合う人や恋人を替えたりすることがこれにあたります。2つめは、ストレス源によって生じた不快感情を自分でコントロールするコーピングです。例えば、上司から叱責されたときに「これも経験の1つだ」とポジティブに解釈したり、仕事に忙殺されているときに「世の中の役に立てているんだ」と、発想を柔軟にして自分を励ます試みです。効果的なコーピングは、ストレス源の性質や状況によって、この2つの方法をタイミングよく使い分けることだといわれています。他にも、積極的につらい感情を表出して、それをユーモラスに語ること、自己主張の練習をすること、休養や運動、食習慣の改善といった基礎的習慣もストレスの回避能力に大きく影響すると考えられています。日々のストレスが大きくなりすぎないよう、勤めることが必要です。
(心理Aya.T 記)