ほとんどの人が多かれ少なかれ「人にどう思われるか」ということを気にしてはいるのでしょうが、それがどの程度か、ということには個人差があります。私たちは小さいころから、さまざまな評価を受けながら生きてきています。「いい子」「悪い子」「勉強ができる」「スポーツができる」「頭が悪い」「不器用」「スタイルがいい」「太っている」等、あらゆるところに評価があるものです。ネガティブな評価は時に人を傷つけます。なので、傷つけられないように、他人の目を気にするようになるのです。ネガティブな評価を受けることを無数に体験してきた人は、自分に自信が持てません。他人の目が気になる心と自信は深い関係にあります。というのも、本当に自分に自信があれば、人からどう思われようと気にならないもので、自信がないために他人の目が気になるのです。そして、他人の目を気にすればするほど、自信がなくなる、負のスパイラルに入ってしまいます。そんなスパイラルから抜け出すために、自分に自信をつける方法としてよく言われるのが、「自分を好きになろう!」という言葉です。そんなキーワードで書かれた本や雑誌が最近のちょっとした流行のように目にする機会が出てきました。自分を好きになること、自分が心地よいと思うものを選択すること、そんな視野が広まってきたのはうれしいことです。
では、具体的にどうしたら自分を好きになれるのでしょうか。その方法の1つに、「自己肯定感」を高める方法があります。自己肯定感とは、自分という存在を認め、尊重する感情のことをいいます。この自己肯定感は、他人を思いやり、励まし、貢献しようとすることで高めることができるとされています。他人のために自分が犠牲になって貢献しようとしている行為そのものが「私は意味あって生きている」「私は価値あって生きている」という自己肯定感を生み、それは自分のことを好きだと思える感情を一気に高めることができるとされています。先生、スポーツコーチ、ボランティア愛好家の方など、他人のために世話役をかって出る人たちが活き活きとしてみえるのは自己肯定感を得られる機会が多いからかもしれません。1人で閉じこもって生きていると「自分が好きだなぁ、自分っていいところあるよなぁ」と思うことは中々できないと思います。人と人との間で比べられたり揉まれたりしないと自分のことは自分でわからないからです。なので人はみんな子どものころから学校集団など他者とのかかわりの中で、自分への肯定感情を高める術を学んでいきます。これは大人になっても同じで、他人に親切にすることは、結果的に自分に対する評価をあげることになります。同時に、他人の目を気にして不安になったり悲しくなったりすることが減り、心が元気になっていきます。本来は誰にでもこの「人を助ける」という本能が備わっているとされていますが、最近では他人に無関心、あるいは他人を侮蔑しSNSにあげる行為までするような人がいます。そういった行為をすることはそれだけ自分の人生が空虚であることを意味し、結果的に「自分を好きになれない人」になってしまいます。自分の中にあるやさしさ、思いやりの感情を大切にしてほしいと願います。
(心理Aya.T 記)