長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-6月号」精神疾患と食事

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面接室からのたより

コラム「LOUNGE-6月号」精神疾患と食事

(2018年6月4日掲載)

 この頃のテレビ番組では食品がもたらす健康効果が頻繁に取り上げられ、評判を呼んだことがありました。例えば、納豆のねばねば成分に血行をよくする効果があると特集されると、スーパーで納豆が売り切れになるなどの現象がみられました。「トクホ(特定保健用食品)」と呼ばれ厚労省から認可された食品も多数販売されるようになり、日常的にサプリメントを摂取している人も多いかと思います。食品には薬のように病気を治す作用はありませんが、長期的な摂取で身体を健康な状態に保つ作用があります。

 食品のもたらす健康効果が広く知られるようになって10年以上経ち、最近では精神疾患と食事に関する書籍も目にする機会が増えてきました。精神疾患の治療法としては、薬物療法や心身の休養、心理療法が中心となってきましたが、海外の研究論文ではうつ病の発症に食生活や運動が関連していることが報告されています。肥満を招く偏った食生活や栄養素の不足が抑うつなどの精神症状を引き起こすことが近年の研究で分かったことで、患者さんの食事指導を行う病院も出てきています。

 地中海式食事に代表される野菜、魚介、穀物の多い食事をとっている人は心臓病・生活習慣病・アルツハイマー型認知症・パーキンソン病・うつ病といった精神・神経の病気も少ないことがわかっています。日本の伝統的な和食も地中海式食事に通じるものがあります。時代の変化とともに日本食も現代では肉や加工食品、砂糖、白米のような精製食品が多くなり、それがうつ病の発症に少なからず影響を及ぼしていると考えられています。うつ病の患者さんはどちらかというと中性脂肪や血糖値が高く、肥満ぎみの人が多い傾向があるようで、その理由は食事の変化、不規則な生活、運動不足などがあり、うつ病も生活習慣病の1つといえそうです。食生活の見直しはうつ病だけではなく、合併する生活習慣病の改善のためにも必要です。

 1日に「なにをどれだけ食べたらよいか」を一目でわかるようにイラストで示した「食事バランスガイド」は、厚労省・農水省が連携して策定した「食生活指針」で提示されたフードガイドです。「食事を楽しみましょう」ではじまる食生活指針では、食育推進ツールとして生活習慣病とくに糖尿病や肥満の予防など、誰もが気軽に食生活改善の実践を行えるよう、作成されています。厚労省などのホームページに詳しく載っているので、参考にされてみてはいかがでしょうか。また、現在、病気療養のために管理栄養士などからの食事指導を受けられている方は、その指示に従ってください。

(心理Aya.T 記)

―待合室で読める本から―

「他人の目が気になる人へ(自分らしくのびのび生きるヒント)」  水島 広子著  光文社
「友人が少ない、つまらない人と思われたくない」「みんな自分のことをブスだと思っているに違いない」「キャラを演じなくては嫌われる」「メールには即返信しなくては」など「他人の目」を気にすることでの些細な傷つきを克服する方法を精神科医が語っています。
「それでいい」  細川 貂々 水島 広子著  創元社
対人関係が健康であれば心も健康であり、対人関係に自信があれば人生にも自信がもてます。生きづらさを克服するための対人関係入門書となっています。
「マンガでわかる心の不安・モヤモヤを解消する方法」  大野 裕他著  池田書店
安にはデメリットだけでなく、メリットがあるのをご存知ですか?大切なのは、不安を利用し、上手に付き合っていくことです。それが、モヤモヤした心を軽くする近道と著者は解説しています。
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