長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-1月号」笑い「こころの健康」

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コラム「LOUNGE-1月号」笑い「こころの健康」

(2018年1月4日掲載)

 寒さが厳しくなってきました。風邪など体調を崩している人もおられるかもしれません。体の調子が崩れるとこころの調子にも影響を与えます。冬は心身の不調をきたしやすい季節ですが、仕事や学校、家事育児に休みはありません。厚労省の調査によると、精神疾患で病院を受診される人の数は年々増加傾向にあり、H26年度の調査では390万人を超えていたようです。そのうちの9割は20歳以上の方だったそうで、働きざかりの年代が多くみられました。厚労省はH27年から一定の職場で従業員へのストレスチェック制度を義務化し、労働者へのメンタルヘルス対策に力を入れているようです。メンタルヘルスのために良いとされている方法はいくつかありますが、今回は「笑い」をテーマにお話していこうと思います。

 ユーモアや笑いがストレスを解消し、病気を遠ざけることがさまざまな研究でわかってきています。笑うことは心理学的には快感情の1つで、怒りやつらさのような不快感情とは区別されます。自分自身が不安定なとき、笑いは起こりません。俳優の妻夫木聡さんが出ているグリコのCMでは笑顔をテーマにいくつかの笑顔に関するトリビアが紹介されています。その中に「子どもは1日平均400回笑う、大人になると15回に減る」と紹介されています。なぜ年齢を重ねるにつれて笑わなくなるのか、この原因の1つにストレス説があがっています。他にも脳機能の要因があるのではないかという説もありますが、今のところはっきりしていません。

 笑うことは脳のはらたきの活性化、痛みの軽減、がんの進行を遅らせるという研究報告もあります。メンタル面では、笑いにつながる快感情の積み重ねはストレスを上手く乗り切れるようになり、ストレスそのものも少なくなるということで、笑いが心身に与える効果は多くあります。とはいえ、気分の沈んでいる時に笑うのは難しいものです。そんなときは心からの笑いでなくとも作り笑いでも効果があるそうです。割り箸を加えて口角を強制的に上げるのも良いそうで、作り笑顔だとしても脳は「笑っている=楽しいことがあった」と錯覚してしまいます。「なんか最近きついな」「仕事に行くのが嫌だな」「ゆううつだな」そんなふうに気分が落ちている人は日常の中で少しだけ笑うことを意識してみてはいかがでしょうか。

(心理Aya.T 記)

―待合室で読める本から―

「笑い」  アンリ・ベルクソン著  光文社文庫
古来多くの哲学者が人間を「笑うことを心得ている動物」と定義しました。フランスの哲学者ベルクソンは、この人間特有の「笑う」という現象とそれを喚起する「おかしみ」の構造とを、古典喜劇に素材を求めて分析し、その社会的意味を解明しています。
「道をひらく」  松下 幸之助著  PHP研究所
昭和43年の発刊以来、いまなお読み継がれる驚異のロングセラー。本書は、松下幸之助が自分の体験と人生に対する深い洞察をもとに綴った短編随想集です。この本には、時代を超えて生き続ける不変の真理があります。
「ハーバードの人生を変える授業」  タル・ベン・シャハー著  だいわ文庫
感謝ノートをつくる。新しい習慣を取り入れる。最も深いところにある感情や思いと向き合う。生活をシンプルにする。目標に到達している様子をイメージし、成功までの道筋をつくる。これら52のレッスンで人生は劇的に変化する、ハーバードの「伝説の授業」。
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