長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-3月号」思春期・青年期のうつ病について

もとやま心のクリニック
長崎の心療内科もとやま心のクリニックへのお問い合わせ・ご予約は095-856-3033
トップページ > 面接室からのたより > コラム「LOUNGE-3月号」
面接室からのたより

コラム「LOUNGE-3月号」思春期・青年期のうつ病について

(2017年3月9日掲載)

 たいていの子供も大人も、時には気分が落ちこんだり、「ブルー」になったりします。悲しい気分になることは、ストレスやつらい経験をかかえたときの正常な反応です。しかし、この感情がずっと続き、いつもの自分ではなくなったり、普段の生活にも支障がでるようになってきた場合は病気の状態といえます。この疾患を「うつ病」といいます。うつ病は通常10代で、とくに成人に近い時期に始まります。12歳未満の子供にはまれです。誰にでも起こる可能性がありますが、男子に比べて女子に多く見られます。うつ病になると、次のような症状が見られます。感情的になったりいらいらしたり、ひきこもりがちになり、友達や家族を避けたり、いつもやっていることができなくなります。自分を悪く思ったり罪悪感を感じ、自己嫌悪におちいったりします。不幸に感じたり惨めに思ったり、孤独を感じることが多くなります。絶望的に感じ、死んでしまいたくなります。物事に集中することが難しくなります。睡眠のリズムが乱れ、少ししか眠れなかったり、ずっと寝ていたりします。疲れていると感じます。食べることに興味がなくなったり、あまり食べなかったり、食べ過ぎたりします。体調が悪くなり、痛みを感じることがあります。

 これらの兆候のすべて、あるいはほとんどがあてはまり、そして長く続いている場合、うつ病であるかもしれません。自分がどのように感じているかを説明するのは難しいでしょう。たいていの場合、うつ病は特にこれといった特定の原因で起こるより、次のようなことがいくつか重なって起こります。ある出来事や自己の経験が引き金になることもあります。これには家庭の崩壊、愛する人を失うこと、無視、いじめ、身体の病気などが含まれます。人生の中で多くの変化があまりに急に生じた場合にも引き金になりうるでしょう。多くのストレスを抱えていて、同じ悩みを分かり合える人がいなかったり、支えが得られない人はよりなりやすいでしょう。遺伝的要因もあり、家族にうつの人がいるかもしれません。すでに体の病気や障害がある場合、うつ病が起こりやすくなります。

 うつ病は、脳の中で感情をコントロールする部分における化学物質の変化と関係があると考えられています。気分が落ち込んでいるときはどうしたらよいのでしょうか。いくつかのことを自分で試してみて、気分がよくなるかどうかみてみましょう。あなたが信頼し、あなたを理解してくれると思える人に話してみるだけで、気持ちが楽になることがあります。また、問題に対する現実的な解決策を見つけやすくしてくれることもあります。たとえば、学校の宿題ができないと感じている場合には、先生や家族に話して宿題を終わらせられるよう、サポートをしてもらうことが役に立ちます。体を動かして、健康的な食生活を送りましょう。できるだけ活動的に忙しく過ごしましょう。あまり楽しめないと感じても、とにかくやってみましょう。日中はとくに、自分の部屋にこもってひとりで過ごさないようにしましょう。自分にストレスをかけ過ぎないように、楽しみや余暇の時間をとりましょう。

 若者の多くは、支えと理解を得ることで自然に回復します。うつ病が長引き、いろいろなことに支障が出ている場合には、治療を試みることが大切です。気分が落ち込んでいると、時には薬物やお酒で忘れようと考えてみたり、実際に試してみるかもしれません。まったく希望が見えなくなり、何もかも投げ出してどこかへ行ってしまいたいと感じるかもしれませんが、そういう行動は状況を悪くするだけです。もしこのようなことがあった場合には、誰かに話して助けを得ることが大切です。認知行動療法(Conitive Behavioural Thearapy; CBT)は心理療法のひとつで、うつ病の治療に効果があります。その他の有効な対話療法には、家族療法や対人関係療法があります。うつ病が重かったり長引いたりする場合は、話をすることも難しいでしょう。こんな場合には、薬物療法が落ち込んだ気分を改善するのに役立ちます。薬は通常なら数ヶ月、場合によってはもっと長い期間服用を続けます。薬を処方された場合は、処方された通り(飲む量や時間)に、服用することが大切です。

(「日本語版こころの健康ガイド」より抜粋)

―待合室で読める本から―

「悩むあなたのままでいいー森田理論によるあるがままの生き方」(白揚社) 生活の発見会編
日本で生まれた神経質症治療のための理論です。治療理論として優れているだけでなく、人間の心の動きを現実に即して理解し、日常生活の指針を得る方法を明確に示す森田療法について、医師や神経質症体験者が語っています。
「『うつ』がいつまでも続くのはなぜ?」(星和書店) ジム・フェルプス 著
長引くうつ状態に苦しんでいる人に対して、双極U型障害や軽微双極性障害を念頭において、診断や治療を見直しながら、主治医とともに病気を克服していくための対処方法を示しています。
「精神科の薬がわかる本」(医学書院) 姫井昭男 著
精神科で使われる全領域の薬が要約されています。副作用と禁忌だけは押さえたい―そんなニーズに合致して支持を得た一冊です。
長崎の心療内科・精神科
もとやま心のクリニック