コラム「LOUNGE-10月号」昼間の眠気が強い(過眠症)
(2016年10月11日掲載)
昼間の眠気が強く、目覚めていられない場合(過眠症)は要注意です。ナルコレプシーなどの過眠症は、学業・仕事の妨げになるだけでなく、転倒・転落したり、交通事故の当事者となったりと、事故の危険性が高まります。睡眠時無呼吸症候群は放っておくと生活習慣病を悪化させます。検査を受け必要な治療を受けることが大切です。夜十分に睡眠をとっているはずなのに、昼間の眠気が強く、目覚めていられない状態を過眠といいます。健康な人でも午後になると体内時計の働きによって眠気が強まりますが、眠ってはいけないときには意志の力で目覚めていることができます。
過眠があると、パソコンに向かって仕事をしていたり、会議で他の人の話を聞いていると居眠りをしてしまいます。入学試験や顧客との商談中など、通常では考えられない状況で居眠りをすることもあります。居眠りや集中力の低下により、学業や仕事に支障がでるだけでなく、転落・転倒や交通事故の当事者となりやすくなり、特に居眠り運転では無関係な人に傷害を負わせてしまうことがあります。職業運転手や大型機械オペレーターなどでは産業事故を引き起こすことがあります。過眠を引き起こす病気はいくつかありますが、大きく分けて「1. 睡眠中の身体の症状のために深く眠ることができず、慢性の睡眠不足となってしまうもの」「2. 脳の中の睡眠を調節する機構がうまく働かず、日中に強い眠気が出現するもの」の2種類に分けられます。
前者の代表的なものが睡眠時無呼吸症候群です。この病気では眠り出すと呼吸が止まってしまい、身体が酸欠状態になるため睡眠が中断します。しかし眠り出すと再び呼吸が止まってしまうため、深い睡眠をとることができなくなります。このため慢性の睡眠不足の状態となり、昼間の眠気が出現します。睡眠時無呼吸症候群では昼間の眠気が出現するだけでなく、夜間の長時間の酸欠状態により、高血圧が引き起こされたり、動脈硬化が進行して心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなったり、糖尿病が悪化したりと、生活習慣病が引き起こされます。このため中等症以上の睡眠時無呼吸症候群を放置すると10年後には3〜4割の方が死亡してしまうといわれており、早期治療が大切です。後者の代表的なものがナルコレプシーです。ナルコレプシーでは夜十分な睡眠をとっていても昼間に突然眠気に襲われ、居眠りしてしまいます。ナルコレプシーは目を覚まし続ける役割を持っているヒポクレチンあるいはオレキシンといわれるタンパク質を作り出すことができなくなることによって起こります。
健康な人でも長期間睡眠不足が続くと昼間の強い眠気が出現することがあり、睡眠不足症候群と呼ばれています。睡眠不足症候群では平日の睡眠時間が3〜5時間と短く休日に睡眠不足を取り戻すため9〜10時間と長く眠るのが特徴で、平日の睡眠を十分とるようにすると日中の強い眠気はなくなります。毎日必要な睡眠時間は人によって異なりますので、周りの人が4〜5時間の睡眠で大丈夫だから自分も大丈夫だろうと、同じような生活をしていると睡眠不足の影響が強く出ることがあります。昼間に強い眠気があり、居眠りなどで学業や仕事に支障がある場合は、睡眠障害専門の医療機関を受診して必要な検査・治療を受けることが大切です。
(厚生労働省「生活習慣病予防のための健康情報サイト」から引用)
―待合室で読める本から―
「学生相談室からみたこころの構造」(岩崎学術出版社) 広沢正孝 著
大学の学生相談室で出会う現代の青年の特徴を通して、その精神病理や精神障害を見直し、うつ、不安、解離、そして自閉スペクトラム症といった病理に関して、現代を生きる青年のこころを、人間本来の「こころの構造や機能」に立ち戻って理解することを試みています。
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「成人の高機能広汎性発達障害とアスペルガー症候群」(医学書院) 広沢正孝 著
成人の高機能広汎性発達障害、アスペルガー症候群とはいかなるものかに焦点を当て、当障害をもつ大人たちの、職場や家庭など社会における生き方を描写し、その精神行動特性について、学問的な裏付けをもってわかりやすく解説しています。
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「自分を変える気づきの瞑想法」(サンガ) アルボムッレ・スマナサーラ 著
ブッダが悟りをひらいた瞑想法。その実践ガイドの決定版を改訂し、「慈悲の瞑想」から「ヴィパッサナー瞑想」まで、仏教瞑想のすべてを概観しています。基本の『歩く・立つ・座る瞑想』に加えて『食事の瞑想』まで、丁寧に解説されています。
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