長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-4月号」五月病とその対策

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コラム「LOUNGE-4月号」五月病とその対策

(2016年04月04日掲載)
進学や就職、転居など環境の変化により、はじめは適応しようと頑張っていたのに、5月のGW明けから、なんとなく気分が落ち込む、疲れやすい、勉強や仕事、家事に集中できない、といった虚脱感・倦怠感があらわれてくる症状を五月病といいます。不眠、食欲不振、めまい、動悸など身体症状が出ることもあります。五月病の原因の大半はストレスです。心身の疲労と緊張が5月の連休で途切れ、無理していたところが症状として出現すると考えられています。
 これまでは、五月病は一過性のもので、一時的に調子を崩しても次第に環境に適応することによって元通りになる、と考えられてきました。しかし近年、症状が長く続き、6カ月、あるいはもっと長く尾を引いてその人の仕事のパフォーマンスを落としていくケースも見られます。環境の激変が引き金になるため、春特有の症状と考えるのは早計です。秋の定期異動や転職などをきっかけに五月病を引き起こすケースも存在します。
五月病では、自尊心が保たれているのが特徴です。仕事で感じるもどかしさの原因を会社や仕事、周囲の環境など、自分のまわりに求める傾向が強いのです。例えば、「この会社が自分に合わない」「自分がやりたかったのはこの仕事ではない」などといった具合です。しかし、典型的なうつ病の場合は、「自分に能力がないからだ」「怒られるのは自分のせいだ」などと自罰的な考えになりやすいようです。両者とも考えが堂々巡りしていくことで、心身が消耗してしまい、不調を来します。ただ、五月病の場合、理想と現実のギャップに折り合いをつけられるようになったり、環境に慣れたりすることで症状は改善し、パフォーマンスが向上していきます。
五月病の予防と対策は大きく分けて「コミュニケーション」「リラックス」「食事」「睡眠」の4つがあります。親しい人や信頼できる相手に話をするだけでもストレスを軽減することができます。また、軽い運動や読書、音楽鑑賞、アロマテラピーなどのリラクゼーションや、休日の気分転換も大切です。栄養バランスのとれた「食事」、質の良い「睡眠」を確保することも、五月病の予防になります。環境が変化すると完璧主義の人は頑張りすぎますので、7割程の達成で満足するような考え方も役に立ちます。なにかとストレスを抱えやすい現代社会ですが、ストレスと上手く付き合いながら症状が悪化しないように気をつけましょう。

―待合室で読める本から―

「快適睡眠のすすめ」(岩波新書) 堀 忠雄 著
快い眠りは健康で充実した生活の必要条件です。快適睡眠のために何をすべきかについて、眠気のリズムを知り、それにうまく合わせることはもちろん、昼間の過ごし方、昼寝の活用とおやつ、サバイバル睡眠法などが紹介されています。
「大人の発達障害を診るということ」(医学書院) 青木 省三 村上 伸治 編集
近年精神科領域で関心の高い「大人の発達障害」について、症例を通じて発達障害的な特徴を見出すポイントや具体的な支援・サポートの在り方について考察しています。実際の診療場面を流れに沿って紹介し、どのようなやりとりで発達障害を疑ったのか、そのときに何を考え、具体的にどのような指導をし、その結果どんな効果や変化があったのかについて紹介しています。
「こころが晴れるノート」(創元社) 大野 裕 著
本書は一般の人たちが認知療法を使ってストレスフルな人生を自分らしく、幸せに生きていくことができるように工夫された自習帳です。コンパクトなつくりで図表やイラストを多用し、分かりやすく表示しています。認知療法を手軽に学びたいと思っている人たちにも役立つハンディで便利な一冊です。
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