コラム「LOUNGE-7月号」睡眠と疲労
(2015年07月07日掲載)
一日二日よく眠れないと翌日疲労を感じますが、健康を害することはありません。しかし数週間あるいは数ヶ月にわたる睡眠不足は、確実に悪い影響をもたらします。いつも疲れを感じ、日中うとうとします。集中力が低下し、判断力が鈍くなります。気分が落ち込みがちになります。また睡眠不足によって、高血圧や糖尿病、太り過ぎといった問題が起こりやすくなります。睡眠の環境を整えることが大切です。たとえば、寝室を快適にし、うるさい音が入らないように配慮し、身体をきちんと支えてくれるマットレスにします。定期的に泳いだり、ウォーキングなどの適度な運動を日常的に行い、就寝前、きちんとリラックスできるような時間をとりましょう。アルコールの過量摂取は眠りを浅くします。
心配事があったら就寝前に書き留めて、これは明日何とかしようと自分に言い聞かせてください。眠れない時は起きて、何かリラックスできることをしましょう。読書、テレビを見ること、静かな音楽を聴くといったことです。少したてば疲れてきて、また眠れるようになります。交代制の仕事や時差、小さな赤ちゃんがいることによって睡眠リズムが乱れている場合は、前の日何時に寝たとしても、毎日同じ時間、朝早く起きるようにしてみてください。そして、その日の夜は午後10時前には就寝しないようにします。これを数日続ければ、自然とそれなりの時間に眠ることができるようになります。
ところで、ある時点において、5人に1人は普通ではない疲れを感じ、10人に1人は持続的な疲れを感じています。しばしば不眠が原因となりますが、それがすべてではありません。身体的原因として、太り過ぎは日常の動作をおこなうだけも体が無理をします。やせすぎは日常の動作をおこなうのに充分な筋力がありません。あまり動かずに身体がなまっていたり、反対に動きすぎて疲弊していることもあります。疲れを感じている時に、精神的なことでも身体的なことでもやり続けると、なかなか回復せず、さらに疲れを感じます。心理的原因として、心配事やストレス、特に問題の解決法がみえないときや、うつ病になると、いつも疲れを感じがちです。朝早く目が覚める場合は特にそうです。引っ越しや結婚などのいい出来事でさえ、疲労困憊する原因となります。日中に寝ること、寝すぎること、あるいは動きすぎたあとに過剰な休息をとることも疲労に関連します。
対処法として、軽い運動をし、カフェインの摂取をやめ、標準体重に戻しましょう。一週間の計画を立て、疲弊しないよう家事を割り振りましょう。もし疲労が長期間続いているようなら、一夜のうちにもとに戻ることを期待しないでください。少しずつ段階を踏むよう心がけ、すぐに大きな変化を期待しないことです。その時は些細なことに見えたとしてもいいのです。どんな進歩でもいいことに違いありません。少数ではありますが、長期にわたって、原因がはっきりせず、重症で生活に大きな支障を来す疲労に苦しむ人がいます。これは筋痛性脳脊髄炎や慢性疲労症候群と呼ばれます。
(「日本語版こころの健康ガイド」より抜粋)
―待合室で読める本から―
「食欲の科学」(講談社) 櫻井 武 著
脳は体重を一定に保つべく、食欲を巧妙にコントロールしていますが、ときに自分の食欲を制御することができなくなってしまいます。脳内で食欲がつくり出されるしくみを脳生理学のトップランナーが解き明かし、「ヒトの食欲」のメカニズムに迫ります。
脳は体重を一定に保つべく、食欲を巧妙にコントロールしていますが、ときに自分の食欲を制御することができなくなってしまいます。脳内で食欲がつくり出されるしくみを脳生理学のトップランナーが解き明かし、「ヒトの食欲」のメカニズムに迫ります。
「頑張らなくてもやせられる!メンタルダイエット」(ソフトバンククリエイティブ) 木村 穣 著
著者の病院では、やせてはリバウンドのくり返しに対し、現実的な目標を立て確実に減量する「認知行動療法」を肥満治療にとり入れ、大きな成果を上げています。その痩身メソッドが詳細に紹介されています。
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「やせるー肥満とダイエットの心理」(二瓶社) 今田 純雄 著
肥満とやせの現状を分析し、人はなぜ太るのかを食行動、食の環境から説き起こします。リスクを意識したやせる方法について教えてくれます。
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