長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-6月号」双極I型・II型(躁うつ病)とは

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コラム「LOUNGE-6月号」双極I型・II型(躁うつ病)とは

(2015年06月08日掲載)
気分が激しく変動する疾患です。通常、気分の変動は数週間から数ヶ月続き、以下のような症状がみられます。気分の落ち込み、激しい抑うつや絶望。気分の高揚あるいは躁的(ハイ)で楽しい気分、過活動。行動を慎むことができない。「混合状態」として、イライラを伴う気分の落ち込みと躁状態の過活動が同時にみられることもあります。原因は同一家族内で何人も発症することがあることから、遺伝的要因が重要な役割を果たしていると考えられます。感情を司る脳の働きに障害があることがあります。したがって、多くの場合、薬物によって治療できます。また、ストレスが気分変動のきっかけになることがあります。
躁うつ病の型ですが、双極I型は、これまで少なくとも1回の気分の高揚した躁病的な時期があり、これが1週間以上続いたものです。気分の落ち込む時期があることが多いですが、躁病の状態だけの場合もあります。双極II型は、これまでに激しい抑うつの時期が少なくとも1回はあり、ほかには「軽躁状態」と呼ばれる軽い躁状態がみられます。急速交代型は、12ヶ月の間に4回以上の気分変動があるもので、躁うつ病の人の約10人に1人でみられます。気分変調症は、それほどひどくない気分の変動が長く続く疾患で、日常生活で必要なことは何とかやっていけます。
躁うつ病になると、うつ状態の時は、悲しい気分が消えない、イライラして落ち着かない。自信がなくなる。自分が役立たずで無力だと思い、絶望的になる。自殺を考える。前向き、楽観的に考えることができなくなる。簡単なことも決断できなくなる。集中できない。興味がなくなる。食欲が減る。体重が減る。よく眠れない。朝早く目が覚める。人と会いたくなくなる、などです。また躁状態の時は、とても楽しい気分でウキウキする。普段より自分のことを偉いと感じるようになる。新しくて刺激的なアイディアがどんどん出てくる。考えがあちこちにすぐ飛ぶ。活気に満ちている。眠くなくなる。過度に活動的になる。早口になる。無謀なお金の使い方をする等の症状が現れます。
 治療については気分安定薬を服用します。これらの薬は効果がはっきりわかるまで数ヶ月かかることがあります。1.リチウム:躁状態、うつ状態両方の治療に用いられます。服用量が多すぎると有害なことがあるため、定期的な血液検査が必要です。副作用には、のどの渇き、多尿や体重増加があります。2.抗てんかん薬:通常はてんかんの治療に使われる薬剤で、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリギン、カルバマゼピンが躁うつ病の治療に用いられます。3.「非定型」抗精神病薬:通常は統合失調症の治療に使われる薬剤で、オランザピン、クエチアピンやリスペリドンが躁うつ病の治療に用いられます。また、心理療法は、躁やうつが落ち着いている時期に特に有効です。躁うつ病についてもっとよく知り、気分の観察を行い、気分が変動しているとき、それに気づきやすくします。気分の小さな変動が本格的な躁状態やうつ状態に発展するのを防ぎ、問題に対処する全般的な能力を身につけます。気分の変動がコントロールできなくなる際の兆候を知ると、早めに助けを得られます。
(「日本語版こころの健康ガイド」より抜粋)

―待合室で読める本から―

「17人のわたしーある多重人格女性の記録」(エクスナレッジ) リチャード・ベア 著
幼いころから身近な人間からの虐待を繰り返し受け続け、うつ状態で訪れた女性に対し、精神科医のセラピーにより、凄惨な体験とその痛みを引き受けていた17人格の存在が明らかになり、10余年にわたり人格の統合作業を続け、一人の完全な人間として再出発するまでの衝撃の記録。
「精神分析を語る」(みすず書房) 藤山 直樹・松木 邦宏・細澤 仁 著
フロイトが精神分析を創始してから一世紀以上の時が過ぎ、こころの科学を取り巻く状況が一変しつつある今日、わが国の精神分析界を牽引してきた臨床家が、精神分析臨床を実践するうえでの現実的課題と展望を縦横無尽に語ります。治療として、文化として、また生き方としての精神分析臨床の現在地を探る精神分析談義。
「ギーゲリッヒ 夢セミナー」(創元社) W・ギーゲリッヒ 著
夢を「外から見る」のではなく「内から見る」。すべてのイメージに魂が宿っているかのように一つひとつのイメージに丁寧に添っていくことで、夢の内側からクライエントの抱えている心理学的な真実に迫ってゆきます。既知の事実ではなく、夢のもたらす未知なるもの、驚くべきことを治療に生かそうとする独特のアプローチが注目です。
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