長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-7月号」不眠症−その3−

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面接室からのたより

コラム「LOUNGE-7月号」不眠症−その3−

(2014年07月09日掲載)
生活習慣の見直しや、日常生活の中でさまざまな工夫をしていくことによって、不眠症を治していく方法にはどのようなものがあるのでしょうか。私たちの体温は1日の中で、1℃程高くなったり低くなったりしますが、早朝には最低体温となります。裸で眠るときは室温が29℃で、睡眠が最も安定します。29℃を超えると、夜中に目が覚めることが増え、深い睡眠やレム睡眠が少なくなります。夏に寝苦しく熟睡しにくいのは、深部体温が下がりにくいからです。質の良い睡眠を得るためには、夏の寝室の室温は26℃、相対湿度は50〜60%が好ましいと考えられています。
人が好む明るさはいつも一定なわけではなく、1日の中でも規則的に変化します。睡眠ホルモンと呼ばれているメラトニンは、いつも寝床につく時刻の約1時間前から分泌がはじまります。寝つきをよくするためには、就寝の1時間前からやや暗い暖色系の証明にすることをおすすめします。夜中に目覚めてトイレへ行こうとしても転ばないようにするためには、豆電球のフットライトをつけて、直接目に入らないけれど、ものの形や色がおぼろげにわかる程度の明るさを確保するのが良いでしょう。
寝室の音が40デシベルを超えると、睡眠にも悪い影響が出ます。寝付きが悪くなり、夜中にも目覚めやすくなります。目覚めたときの爽快感が減って熟睡感も悪くなります。40デシベルというのは図書館の静けさに相当します。外部の騒音は、主に窓や出入り口などの開口部から入ってきますので、静かに眠るためには、ドアを閉めたり窓に厚手のカーテンをかけたりしましょう。裏技として、マスキングという方法があります。騒音が気になって寝つけないときは、好きな音楽を流してみてください。大きいけれども心地よい音で、不快な小さい音を隠してしまうマスキング効果が、騒音を気にならなくしてくれます。静かなクラシックやリラックス効果がある曲を試してみるのも良いでしょう。
アルコールには、不安を減らしたり、気持ちを落ちつけて眠りに誘ったりする作用があります。日本人は不眠のため医療機関を受診する割合が世界的に少なく、そのかわり不眠を解消するためにアルコールを摂取する割合が多いようです。量が増えると睡眠の質を悪くしてしまい、アルコール依存症のリスクが高まります。また、舌の筋肉を麻痺させるのでいびきをかきやすくなり、熟睡感が減ります。できるだけ寝酒はやめて、夕食の時に晩酌としてお酒をたしなむ程度が良いようです。
(参考図書:「不眠症の科学」坪田 聡著 ソフトバンククリエイティブ)

―待合室で読める本から―

「世界一やさしい精神科の本」(河出書房新社) 齋藤 環 山登 敬之著 
発達障害、ひきこもり、対人恐怖、拒食症/過食症、解離、トラウマ、人格障害、うつ病、統合失調症などについて、基本的なことが平易に書かれており、対処法の基本も簡潔に示されています。
「抱きしめられたかったあなたへ」(講談社) 三砂 ちづる著
「そっと誰かにふれられる」「抱きしめられる」「やさしく背中をなでてもらう」、そのような「ふれあい(タッチ)」が、安心と勇気を与えてくれるかもしれません。満たされない思いを抱えたまま孤独にがんばっている現代の日本女性にやさしく語りかけるエッセイです。
「9割の不眠は夕方の習慣で治る」(SBクリエイティブ) 白濱 龍太郎著
生活パターンの変更がきかないビジネスパーソンをはじめとして、すき間時間の活用や心がけ次第で誰にでも実践できる睡眠のマネジメント方法が紹介されています。
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