コラム「LOUNGE-4月号」社会不安障害(社会恐怖)−その2−
(2014年04月08日掲載) 不安は、あらゆる動物が持っている、脅威に対する防衛の一部分です。脅威からうまく逃れるために、逃れられないときはそれと戦うことができるように、より一層の力とスピードを生みます。このような不安は、その人の心の中で、それが起こった状況と結びつけられることが多いのです。社会恐怖においては、他者からの承認や受容、あるいは個人の社会的地位の喪失が脅威となります。注目すべきは、実際には否認されたり拒絶されたりする可能性は小さいのにもかかわらず、否定的評価をされるかもしれないという個人の受け止め方です。その結果がどのくらい破局的になるのかということに関係して不安が増大します。反応の閾値があまりにも低くて、実際には生存の脅威とならない状況で自動的な防衛反応が生じると不安障害が起こります。
社交場面で過呼吸が生じると、めまい、ふらつき、手足のしびれ、胸部圧迫感など多くの身体症状が引き起こされます。それらは、不安感を高まらせ、そのために客観的に考えることを難しくします。話そうとしても頭が真っ白になり、何を語っているのかわからないという状態になりますが、過呼吸を元に戻すと症状はすぐに収まります。不安症状が出やすい社交的状況として、主婦の方ですと、学校のPTA役員に選ばれて人前に出る機会が多くなったり、会社員の方でしたら昇進して大勢の人前で話す機会が増えたりすると、「恥ずかしい思いをしたくない」「失敗したくない」という気持ちも生じやすく、人前で話すことに極度の不安や恐怖を感じるようになって、そのような場面を避けるようになります。
不安を恐れる人は、コントロールできないくらいに増幅してしまうことを考えて、小さな不安をも恐れるようになります。しかし不安が有用な場合もあります。身の危険にさらされたときは、我々の生命を救うこともありますし、適度の不安は作業効率を上げてくれます。理想的には、日常業務を遂行する際には平静を保つことにより、ストレスの多い状況は、ゆとりをもって対処することができます。日々、リラクゼーション技法を実践することにより、この目標を達成できるでしょう。不安の身体化した症状としての過呼吸は、諸症状を悪化させますが、呼吸コントロールにより容易に不安を抑えることができます。
(「不安障害の認知行動療法」 星和書店 より抜粋)
―待合室で読める本から―
「うつ病の人の気持ちが分かる本」(講談社) 大野 裕著
うつ病に苦しんだり過ごし方を工夫したりした人たちの言葉をもとにつくられた本です。イラストとチャートを多用して、その思いを的確に表現しており、家族の対応と回復におおいに役立つ一冊です。
うつ病に苦しんだり過ごし方を工夫したりした人たちの言葉をもとにつくられた本です。イラストとチャートを多用して、その思いを的確に表現しており、家族の対応と回復におおいに役立つ一冊です。
「あなたの家族が『うつ』になったら」(草思社) 光本 英代著
家族がうつになった人に取材し、自らの経験をもとに患者を支える家族の本音と葛藤を描いています。
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「脳から『うつ』が消える低糖質レシピ」(青春出版社) 溝口 徹 大柳 珠美著
うつは脳の栄養不足とし、低糖質・高タンパク質な食事をする上でのレシピ本です。うつが良くなる食べ方のコツも紹介しています。
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