コラム「LOUNGE-1月号」 ―女性のうつA〜主婦症候群―
(2012年1月4日掲載) 男性より女性のほうが「うつ」になりやすいようです。発病の頻度は男性の約2倍と言われています。明確な理由はわかっていないのですが、女性は男性に比べて月経周期や妊娠などでホルモンが変動し、心の状態にも影響を及ぼします。また、結婚や出産のような大きなライフステージの変化に伴い生活が一変しやすいこと、職場での役割と期待がかつてより大きくなり、残業した上に家事や育児、ひいては介護との両立と、男性より一人で何役もこなさなければいけないことなど、心身ともに疲れきってしまうことが少なくありません。「うつ」になる手前であれば、1〜2か月ほど仕事を休まれることで、体調が改善する場合があります。
ところで、専業主婦には「うつ」は少ないのでしょうか。家庭の主婦で、肩こりや頭痛、虚脱感や孤独感を感じ、「何のために生きているのかしら」と自分自身の価値を見失っている方は、「うつ」が潜んでいる可能性があります。幼少期よりまじめで周囲の期待に応えようとする気持ちが強く、勉強や仕事も完璧にこなしてきた「いい子」で、「〜しなければならない」という思考優先の行動パターンがみられます。家事や育児は社会的他者の価値評価がなく、そこから得られる満足感に乏しいのです。良いお母さん、良いお嫁さん、良い妻であろうとするだけでは、達成感を味わうことが難しいようです。このような時、一旦役割から離れた「素の自分」に立ち戻れる時間が必要です。
完璧主義の背景には「周囲の期待に応えなければならない」という思いが強く、幼少期より喜ぶ両親の顔がそこにあります。結婚において、親戚づきあいを含め、夫を支えていくことに生きがいを感じることになり、子どもの喜ぶ顔を見ることが自分を母親として認めてくれることに繋がります。しかし、このような他者に依存する自己評価は、夫が仕事に打ち込み、子どもも自己主張するようになると、途端に「これでよいのだろうか」という不安に苛まれます。自信を失い自己嫌悪に陥ると何もかもがうまくいかなくなり、悪循環に陥ります。ちなみに、まじめな性格は長所でもあります。こころの中に、あいまいさを許容するスペースを持ち、白黒はっきりさせず、不安をそれとして感じながらも、その日一日を充実させて生きることが解決につながります。「またうまくいかないのではないか」という予期不安からくる“悪循環”を断ち切る当面の心の持ち方なのです。
―待合室で読める本から―
「女性のうつ病がわかる本」(法研) 平島 奈津子 著
病気への理解を深める章に始まり、女性特有のライフサイクルやライフスタイルに基づくうつ病の病態がケーススタディとして描写されている章、そして治し方と付き合い方について紹介されている章を通し、男性の約2倍と言われる女性のうつ病への理解を深めることができます。
病気への理解を深める章に始まり、女性特有のライフサイクルやライフスタイルに基づくうつ病の病態がケーススタディとして描写されている章、そして治し方と付き合い方について紹介されている章を通し、男性の約2倍と言われる女性のうつ病への理解を深めることができます。
「更年期を快適に過ごす本」(日経BPムック) 日経ヘルス編集部
40代~50代女性にアンケートを実施し、普通の女性の更年期の実情を浮き彫りにし、この実態を踏まえ、「女性ホルモンが減ると何が起きるのか」をきちんと解説しています。そこから起こる不調を少しでも和らげるための「日常生活の知恵」や「効果的な治療法」などが提案されています。
40代~50代女性にアンケートを実施し、普通の女性の更年期の実情を浮き彫りにし、この実態を踏まえ、「女性ホルモンが減ると何が起きるのか」をきちんと解説しています。そこから起こる不調を少しでも和らげるための「日常生活の知恵」や「効果的な治療法」などが提案されています。
「40,50代女性がストレスから楽になる本」(日経BPムック) 日経ヘルス編集部
感情的ストレスに弱いという女性に特有な心のストレスや悩みから楽になる方法について、著名人や先輩の貴重な体験談と医学的・科学的エビデンスに基づいた情報が提供されています。
感情的ストレスに弱いという女性に特有な心のストレスや悩みから楽になる方法について、著名人や先輩の貴重な体験談と医学的・科学的エビデンスに基づいた情報が提供されています。