長崎の心療内科 もとやま心のクリニック 月経前症候群

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症状と治療について

月経前症候群

月経前、あるいは月経中のイライラや憂鬱感といった気分の変化は多くの女性にみられ、身近な方との間に小さなトラブルが生じやすいようです。この状態は治療を要するまでもなく、月経前症候群(PMS)と言います。しかしながら、日常生活に支障をきたし、強い抑うつ気分や不安感、怒りの感情などがみられ、時に自殺念慮がみられる場合があります。月経開始から数日後には消失し、少なくとも排卵期までは、理性的で平穏、活発な行動がみられます。これが月経前不快気分障害(PMDD)です。

PMSの原因ははっきりとはわかっていませんが、ホルモンの影響が考えられます。卵巣ステロイドホルモンに対する標的器官(ホルモンの影響を受ける器官)の感受性の差が原因であるとするもの、水分貯留症状や低血糖類似症状からレニン・アンジオテンシン系の異常、耐糖能の異常があるとするもの、セロトニンなどの神経伝達物質の異常分泌があるとするものなどがあります。症状は月経前に周期的に現れ、身体症状としてはむくみや腹部の膨満感、乳房の緊満感などの水分貯留症状のほか、頭痛、腹痛、腰痛などの疼痛症状、食欲不振、めまい、倦怠感などの自律神経症状、情緒不安定、抑うつ、不安、睡眠障害などの精神症状があります。ただし、症状の現れ方には変化があり、月によって程度が異なることも少なくありません。

PMSを軽減させるためには、偏りのない食事をとる、軽い運動を定期的に行う、カフェイン、アルコール、砂糖の量をひかえる、そして十分な睡眠をとることが必要です。このようなセルフコントロールによっても、あまり効果がない場合は、漢方治療も有効です。PMDDでは、PMSと同じようなメカニズムも働いているとは思われますが、PMSとは違ってセロトニンにという神経伝達物質の機能性の変調が背景にあると考えられます。このような観点からは、むしろうつ病に似た疾患といえるかもしれません。向精神薬としては従来マイナートランキライザー(精神安定薬)などが用いられましたが、現在ではSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が第一選択となっており、黄体期だけの投与でも十分効果がみられることがあります。漢方薬が有効なこともあり、試してみる価値があります。


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