自律神経失調症
自律神経失調症という言葉はよく耳にしますが、正式な病名ではありません。だれもが何となく知っていて、何となく使っているというものです。内科で検査では異常がないのに不定愁訴がある場合、自律神経失調症ではないかと言われる方も多いようです。自律神経失調症は、不規則な生活や習慣などによって、体を働かせる自律神経のバランスが乱れるために起こるさまざまな体の不調のことをいいます。自律神経は、心臓や胃を動かしたり、汗をかいたりなどと、生命を維持するうえで重要な体の機能をコントロールし、自分の意志とは関係なく自動的に働く神経のことです。自律神経には交感神経と副交感神経という2つの対照的な働きをもつ神経があり、ほとんどの器官はこの2つの神経が同時にバランスよく働いて維持されています。
ところが、ストレスが心身に影響を及ぼしてくると、2つの自律神経のバランスが悪くなり、心身にいろいろな不調(不定愁訴)、例えばめまい、発汗、動悸、のぼせ、手足の冷え、不眠、食欲不振などが現れてきます。これが自律神経失調症と呼ばれているものなのです。ところで、自律神経失調症というと、周囲の人からはあまり病気扱いされないことも多いのではないでしょうか。しかし、本人はいくつもの症状を抱えていてつらいものです。症状が長く続いて、内科などで治療を受けても改善しない場合は、心療内科での治療が有効です。ほかの病気が見つからなかった場合は、自律神経の機能を調べる検査が行われます。
治療法としては、薬物療法と心理療法がありますが、生活習慣を改善していくだけでもかなり症状が緩和されるかもしれません。