不眠症
眠ろうと思ってもなかなか寝付けない、夜中や早朝に目が覚めてしまう、熟睡できないなど、睡眠にかかわるトラブルにより日常生活に支障をきたしている状態のことをいいます。不眠症の原因には様々なものがあり、ストレスが原因で起こる一過性の不眠を適応障害性不眠と呼びます。うつ病ではほとんどの場合に不眠が認められ、うつ病の重症度と不眠の重症度は関連しています。不眠を訴えていた人が実はうつ病の初期だった、ということがよくあります。2週間以上続く不眠はうつ病の可能性もありますから注意が必要です。また、パニック障害の人が強く感じている不安や恐怖は、覚醒を亢進させる作用があります。睡眠中にもパニック発作が生じ、発作後に再び眠るのが怖くなり不眠が増強してしまいます。不眠症には4つのタイプがあり、そのうち複数が重複して現れる場合もあります。
1.入眠障害
ベッドに入ってもなかなか寝付けず、30分以上かかっても眠れません。そのような日が、数日から数週間つづく場合は入眠障害の可能性があります。
2.中途覚醒
一晩に何度も目が覚め、その後何時間も眠れない状態が数日間続くようなら中途覚醒の可能性があります。
3.早朝覚醒
起きたい時刻よりも随分早く目が覚めてしまう症状です。加齢によるものであれば、特に治療の必要もありませんが、うつ病の人が早朝覚醒も併発していることが多く、一つの判断基準になります。
4.熟眠障害
睡眠時間は十分とっているのに、ぐっすり眠った感じがしない、眠りが浅い状態です。睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群などの病気が関係していることもあります。眠っている間に起きるため、本人が気付きにくいので注意が必要です。
不眠症の治療は、まず原因を明らかにし、原因に応じて治療を導入することが大切です。うつ病、不安障害などの不眠が生じやすい心の病気や睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群などがみられれば、そちらの症状の治療を優先させます。そして生活習慣の改善も大切です。寝付きが悪いからと言って無理に早く床に就いたり、お酒を飲んだりせず、自分なりのリラックス方法を見つけて眠くなってから床に就くようにしましょう。毎日同じ時刻に起床する、食事の時間を規則的にする、適度な運動を心がけるなど、日常生活の改善で、体内のリズムを整えることも大切です。薬物療法としては睡眠導入剤を処方します。近年の薬は自然な眠気を起こさせ、副作用の少ない安全性の高い薬がたくさんあります。医師の指導を守り、自分に合った効果のある薬を服用することで質の高い眠りを取り戻すことができます。また、睡眠障害の治療は漢方薬も得意とする分野で、依存形成がないなどの利点が多い点も推奨されます。