長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-12月号」カウンセリングとは

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面接室からのたより

コラム「LOUNGE-12月号」カウンセリングとは

(2017年12月4日掲載)

 寒さがまたいちだんと厳しくなってきました。季節はすっかり冬ですね。さて、今回は『カウンセリング』について少しお話をしたいと思います。カウンセリングという言葉自体はよく聞くようになりましたが、内容としてはまだまだ誤解されている部分が多いと感じます。カウンセリングとはどんなものなのか、まず“相談”とは違うものだということを知っていただきたいと思います。

 カウンセリングはどちらかの一方通行ではなく、1対1の人間の話し合いの場になります。例えば、「人間関係がうまくいかない」という悩みがあり、それをどうにかしてほしい、何か適切なアドバイスをくれるかもしれない、そういった期待を持って来院される方がいます。しかし、それは“カウンセリング”ではなく“相談”の意味合いを持ちます。“相談”は何か困りごとがあり、それに対する助言・アドバイス、何かを教えてもらう、忠告を聞くなどの意味合いがあります。カウンセリングを受けたいという方も、そういった助言・アドバイスを求めてやってくる方がおられますが、それを期待してカウンセリングを受けようとすると、思ったものと違うと感じる可能性があります。必要によっては助言をする場合もありますが、カウンセリングでは基本的に助言やアドバイスを行うことはありません。

カウンセリングでは、カウンセラーである私たちの考えを押し付けたり、あるいは説得したりするのではなく、やってきた相談者の気持ちを受け入れていくという中で、相談者自身の自主性、相談者自身の考え、相談者自身の体験というものを大切にしながら、その人が変化していくのを助ける作業となります。カウンセリングでは相談者が話すこと、それもただ気持ちを吐き出すだけではなく、“生きた人間に話すこと”に意味があります。生きたカウンセラーに話をすることで、気持ちを受け入れられる体験をするうちに自分自身についてわかってくる、それを相談者自身が体験することでカウンセリングは進みます。カウンセラーは相談者の“自分で立ち上がる力”を信じています。実際、人間は立ち上がる力を持っており、それを信じているからカウンセリングを行います。カウンセリングの終着点は、その先また別の困難にぶつかったときも相談者が自分自身の力で乗り越えていけるようになると、ベストな終わり方だと思います。

(心理Aya.T 記)

―待合室で読める本から―

「なぜふつうに食べられないのか?拒食と過食の文化人類学」  磯野 真穂著  春秋社
医療が語り得ぬものとして、質的研究の実践と食体験の試みを行っています。4年間111時間に及ぶインタビューを通し、6人の「語り」のなかに食の本質をみいだします。摂食障害が医療の問題と患者側の問題との二つの視点から捉えられています。
「摂食障害の不安に向き合う」  水島 広子著  創元社
拒食症はPTSDとほぼ同様の発症プロセスをもち、不安障害とみたほうが現実の治療に即していると理解され、「不安」に注目しつつ、安心の提供を心がける治療の実際が述べられています。
「子どもの難問」  野矢 茂樹編集  中央公論新社
大人になると当たり前すぎて疑問に思わないことへの問いに丁寧に、そして様々な視点から、難問に答えを導き出します。もう子どもではなくなってしまった大人にも、忘れかけていた子どものように考えることに気づかされる一冊です。
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