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コラム「LOUNGE-9月号」「9月病」をご存じですか?

(2017年9月1日掲載)

今年の夏は例年になく、暑さの厳しい日が多かったようです。うまく乗り越えられたでしょうか。さて、「9月病」という言葉があります。季節が起因する症状と言えば、新入社員や新入生などが新しい環境に適応できずに心を病んでしまう「5月病」がよく知られています。9月病は、夏休み明けで気分の切り替えがうまくいかないときに出る、うつ症状のことを指します。学校でも夏休み明けに不登校が増えたりします。もともとは夏の休暇が多かったヨーロッパで多く見られる症状で、職場での夏休みの長期化は9月病を引き起こしやすくしていると考えられます。最近では、休暇の長さだけでなく、テーマパークや海外旅行など、現実の生活とかけ離れたところに行ったりすることも原因になっています。そういった体験は、リフレッシュにもなるのですが、現実からの距離が遠ければ遠いほど、現実に戻るのに苦労することになるからです。また、季節の変わり目で急激な温度の変化に体がついていかないために、心身のバランスが崩れストレスを感じる人もいます。

 症状は一般的に言われるうつ状態とほぼ同じです。眠れない、食欲が湧かない、やる気が出ない、興味関心が薄れてしまうなどです。不安や焦燥感を感じることも多くなります。真面目な人や几帳面な人、他者に敏感な人がかかりやすいようです。対策として、疲れたという理由ではなかなか仕事を休む事は出来ません。そういう場合は休日の時間の使い方を考える事が重要です。ストレス発散をメインとした内容で楽しむようにしましょう。そして、一人になる時間を設けると違って来ます。特に主婦の方で子どもの夏休みで自分の好きなように動く事が出来なかった場合などは、少しだけ一人で出かける等をするだけでも症状が軽減する事もあります。また、『イライラしている自分』や『やる気がでない自分』が出てきたら、それを否定しないで、すべて自分の一部であると認めることが肝要です。『そういう自分も私の大切な部分』と思って、その気持ちに寄り添えれば、自然と症状は緩和します。また、休日は寝過ぎないことが大切で、平日の起床時刻と同様に寝床を出ましょう。いったん起きて活動しても眠気が強ければ、仮眠や昼寝をとり、夜は平日よりも少し早めに眠ると、次の1週間が過ごしやすくなります。

同様に9月病は小学生や中学生、高校生にも特有の症状です。長い夏休みを終え新学期が始まり、「早起きが嫌だ」「だるい」「夏休みの生活が良かった」などの思いが強くなります。朝起きれずに遅刻したり、数日休みが続くこともあります。症状が続き、悪化すると、うつ状態に移行する場合があります。夏休みの間楽しい思いをしてきて、急に普通で面白くない日常が始まると、枠にはめられてしまう気がして不安になるのです。夏休み中の過ごし方として、学校の友達と連絡を取り、学校生活の楽しみを思い出すと、スムーズに学校生活を迎えられます。繰り返しになりますが、この場合も規則正しい睡眠が必要です。長い休みで寝る時刻と起きる時刻が遅れていると、体内時計がずれていきます。9月の登校日に急に体内時計を戻すと、体や心に負担がかかります。9月は色々と環境に変化が出る時期でもあり、特に社会人の場合は配置転換や転勤、転職などの時期にあたるため、また一から仕事や人間関係を構築していく必要があります。季節の変わり目で気温差が激しく、夏の疲れも解消されず気づかないうちに体力を削られ、心身ともに弱っていることが、9月病の引き金になっているのです。

―待合室で読める本から―

「成人期ADHD診療ガイドブック」  樋口 輝彦 齋藤万比古著 じほう
第一線で活躍する専門医が成人期ADHDの概要から診断・治療に至るまでを詳細に解説。治療薬アトモキセチンの使い方や症例も掲載。Q&A、診断に役立つチェックリストなども付録として掲載されています。
「病気が治る気功入門」  中 健次郎著  マキノ出版
本格気功を実践することで、体と心の調和、他人と調和し、心身のバランスが整い、病気が治ったりします。肥満、うつ、卵巣嚢腫、糖尿病、リウマチ、ガンなどに効いたという報告が掲載されています。
「痛みの心理学」  丸田 俊彦著  中公新書
現代医学の進歩は、病気の診断や治療に大きく貢献した反面、痛みの診療のために新たな痛みをつくるという逆説を生じました。本書は痛みの身体的・心理的メカニズムを解明し、米国メイヨ・クリニックでの豊富な臨床体験から、明日の医療を先取りする“痛みのマネジメント”の理論と実際を紹介しています。
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