長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-12月号」人に気持ちを伝える技術(アサーション)とは

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コラム「LOUNGE-12月号」人に気持ちを伝える技術(アサーション)とは

(2016年11月29日掲載)
 「アサーション」とはコミュニケーションスキルの1つです。自分の意思や要求を表明するための適切な自己表現のことです。最近では、お互いを尊重しながら率直に自己表現できるようになるための「アサーショントレーニング」が、企業や学校などで行われることも増えています。「相手に気兼ねして言いたいことを伝えられない」「自己中心的で相手を思いやらない」といった一方的な対人関係を解消するための「アサーション」がどのようなものなのか、身につけるにはどうしたらいいのかをみていきましょう。
 アサーションとは、自分も相手(他者)も大事に考えた、より良い人間関係を築くための自己表現法です。身につけることで、相手との信頼関係を深めたり円滑なコミュニケーションを図ることができ、対人ストレスを減少したり、自分の印象を向上させることができると言われています。アサーションの理論では、コミュニケーションを 「アグレッシブ(攻撃的)」「ノンアサーティブ(非主張的)」「アサーティブ」 の3つのタイプに分類できるとされています。この3つのタイプを知ることで、日頃のコミュニケーションの振り返りに役立てることができます。私たちは人と接する中で、感情的・攻撃的になって後味の悪い思いをしたり、逆に、自分を不本意に押し殺して後悔することがありますが、アサーションの考え方を知り体験することによって、相手(他者)との違いを知りその人らしさを受け入れることは、ありのままの自分を大切に感じることにも繋がります。
 アグレッシブ(攻撃的)な方法とは、自己中心的に物事を考え、相手のことは考えず、自身の考えを主張するやり方です。自分が正しいという前提が強くあり、理由や言い分など聞く余地もなく頭ごなしに叱責をするような表現です。ノンアサーティブ(非主張的)な方法とは、自分の意見や感情を押し殺し、相手に合わせるようなやり方です。自分に対して自信が持てず、自分を後回しにして周りの人のことを考えようとする傾向があります。それが相手に対する思いやりと信じていることから生まれることが多いと言えます。アサーティブな方法とは、自分の気持ちや考えを相手に伝えるが、相手のことも配慮し、自分も相手も大切にしたやり方です。お互いの意見に賛同できず意見が異なった時に、攻撃的に相手を打ち負かしたり、非主張的に相手に合わせたりするのではなく、お互いが歩み寄り妥協点を探ることがアサーティブなあり方であると言えます。
 アサーション力を身につけるためにはどのようなことに心がけたら良いでしょうか。「NO」と告げることで相手の気分を害してしまうと思い、つい我慢してしまう人も多いと思います。しかし、その場しのぎで言いたいことを我慢しても 、長期的な目で見ると相手との関係で無理が出てきたり、人と付き合うことが億劫になったり、怒りや不満が内向することでストレスに繋がることがあります。また、発するべきことを端折る、つまり、コミュニケーションを簡素化していることで、相手との本当の意味での信頼関係構築やコミュニケーションを取れていないことになります。アサーションを身につけるために大切なことは、相手の話に耳を傾け、感情に流されず、自分の正直な気持がどういうものなのかをしっかり考えた上で、行動することです。相手を切り捨てたり、常に自分を後回しにするのではなく、相手の話を聞きつつ自分の主張も忘れない、という会話を意識することが重要です。
 アサーションの権利として、「自己受容権利」(自分の感情を認めて、その感情を受け入れる)があります。人間はどんな感情も持つ権利があり、それは自然なことです。それでも、自分のネガティブな感情に気付くことは避ける傾向にあったり、無理にポジティブに考えて、明るく振る舞う人も多いのではないでしょうか。そうして自分の気持ちを誤魔化すことは、本当の自分の感情と矛盾を抱え、ますます辛くなってしまうこともあります。人間の心と体は繋がっているので、自分の心は誤魔化せても、体は誤魔化すことができません。こうした矛盾を繰り返すことで、体の不調を導くことにもなりかねません。ネガティブな感情は誰にでもある自然な感情である ことを理解し、「感情と行動の一致」を意識したコミュニケーションをとることが大切です。また、人間には、自分の感情を「表現する・伝える」ことも、「表現しない・伝えない」ことも、自由に選ぶことができる権利があります。これをアサーション権と言います。自分が辛いとき、他者から権利を侵害されているとき等は、自分自身を守るため、その状況に応じた対応が必要となります。このように、アサーション力を身につけることでコミュニケーションや対人ストレスに効果があるかもしれません。日本人には相手を思いやる文化があり、アサーティブな対応を会得することは難しいかもしれませんが、相手の空気(気持)を読むことが得意な日本人には大変向いているコミュニケーション方法ではないでしょうか。
(Webメディア「KaiSeiBiz」より抜粋)

―待合室で読める本から―

「よくわかるアサーション 自分の気持ちの伝え方 (セレクトBOOKS)」(主婦の友社) 平木 典子 著
アサーションは、自分も他人も尊重しながら、お互いに気持ちのよい自己表現をするための考え方です。その具体的方法が、分かりやすく紹介されています。
「図解 自分の気持ちをきちんと「伝える」技術―人間関係がラクになる自己カウンセリングのすすめ」(PHP研究所) 平木 典子 著
アサーションを理解すれば、率直なコミュニケーションがそれほど難しいことではなく、自己表現に躊躇したり、誤解されることに恐れを抱いたりはしません。自分の気持ちをきちんと伝える基本を図解でわかりやすく解説し、良い人間関係を作る方法を理解できます。
「マンガでやさしくわかるアサーション」(日本能率協会マネジメントセンター) 平木 典子 著
本書は、アサーションの第一人者として活躍する著者によるわかりやすい解説とストーリーマンガのサンドイッチ形式でアサーションの基礎を楽しく学べます。
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