長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-12月号」抗うつ薬で知っておきたいこと

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コラム「LOUNGE-12月号」抗うつ薬で知っておきたいこと

(2015年12月04日掲載)
 抗うつ薬は、うつ病の症状を和らげる薬です。今日、多くの抗うつ薬があり、これらは4つの種類に分けられます。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI: selective serotonin reuptake inhibitors)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI: serotonin and noradrenaline reuptake inhibitors)三環系抗うつ薬、モノアミン・オキシダーゼ阻害剤(MAOI: monoamine oxidase inhibitors)です。最近では、三環系抗うつ薬とモノアミン・オキシダーゼ阻害剤は以前ほど使われません。通常は精神科専門医により処方されます。
 抗うつ薬は、中等度から重度のうつ病、重度の不安障害やパニック発作、強迫性障害、慢性疼痛、摂食障害、外傷後ストレス障害などの病状に用いられます。3ヶ月の服用成績をみた研究によると、中等度のうつ病の人が抗うつ薬を服用した場合、50-65%の人に症状の著しい改善がみられます。一方で、薬理作用のない偽薬(プラシーボ)を服用した場合、25-30%の人にしか改善がみられません。選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の副作用は、服用を始めて1-2週間は、胃がむかむかしたり、眠気を催したり、一過性に不安が強くなるかもしれません。この種類の薬の中には、不快な消化不良をおこすものもありますが、通常は食事のすぐあとに服用することで症状はおさまります。
 車の運転や、機械の操作はについて、抗うつ薬の中には、眠気を引き起こしたり、反応を鈍くするものがあります。三環系抗うつ薬でこの傾向が強くみられます。運転時に服用できる薬もありますが、うつ病そのものによっても集中力が低下し事故が起こりやすくなりますので、疑問があれば医師に相談しましょう。抗うつ薬を服用しても、抗不安薬やアルコール、ニコチンなどでみられるような依存は起こりません。
 また、抗うつ薬は服用してすぐに効くわけではありませんし、だんだん効果がなくなって服用する量をどんどん増やさなければならない、ということもありません。薬が欲しくてたまらなくなることもありません。しかし、選択的セロトニン再取り込み阻害剤やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤の服用を中止する際に、胃部不快感、風邪のような症状、不安、めまい、鮮やかな夢などの退薬症状が起こる場合があります。退薬症状は軽度であることがほとんどですが、抗うつ薬は突然中止するのではなく、徐々に減量・中止するのがベストです。
 若年者がセロトニン再取り込み阻害剤を服用した場合、自殺念慮や他の副作用の頻度が高くなるということが科学的に証明されています。成人の場合、抗うつ薬の服用で自傷行為や自殺念慮が増えるというはっきりとした科学的根拠はありません。しかし、精神的、肉体的に成長するペースは人それぞれです。若年成人では、年齢の高い人に比べ自殺する割合が高いので、若年成人が抗うつ薬を服用する場合には気をつけて経過を観察する必要があります。
 抗うつ薬は、必ずしもうつ病の原因を治療したり、うつ病を完全になくするものではありません。これまでに2回以上うつ病にかかったことがある人は最低でも2年は服薬を続けるべきです。治療開始から8-9ヶ月経つ前に服薬を中断した場合、うつ病の症状が再び出てくる可能性が高くなります。気分が改善したと感じた時点から最低6か月は抗うつ薬を服用し続けるのが最適と考えられています。この期間に、何がうつ病のきっかけになったのか思い起こしたり、再び起こらないようにするにはどうしたらいいのか考えてみるのもいいでしょう。薬物療法に加えて心理療法を受けるのが効果的である場合もあります。抗うつ薬と対話療法を組み合わせるのが最適であるという研究結果も出ています。
(「日本語版こころの健康ガイド」より抜粋)

―待合室で読める本から―

「適応障害(こころの科学セレクション)」(日本評論社) 原田 誠一 著
病気かそれとも正常か、うつ病との違い、そもそも病気なのかなど、適応障害という言葉が登場して30年近くなり、くずかご的病名と呼ばれながら、臨床でよく使われるこの疾患に対する疑問に応える良書。
「働く人のための精神医学」(PHP研究所) 岡田 尊司 著
比較的恵まれた大企業の社員や、精神的にタフだと思われていた人までもが、うつや不安障害になって仕事ができなくなるケースが急増しています。本書は、働く人が知っておきたい精神的疾患や心のトラブルについて、そのエッセンスをわかりやすくまとめたものです。
「臨床心理学大系 (第10巻) 適応障害の心理臨床」(金子書房) 浅香 宏他 編集
適応障害とは何かを規定し、学校不適応、職場不適応を含む広範な分野について取り上げ、精神医学というカテゴリーでは現れ難い領域についても、心理学的側面から総論的に網羅されています。
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