長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-1月号」男性とうつ

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コラム「LOUNGE-1月号」男性とうつ

(2015年01月13日掲載)
 「男性うつ」という独立した病気が医学的に存在するわけではありません。しかし男性は女性に比べて負けず嫌いで、権力や社会的成功にこだわる傾向があります。また、男性は自分が脆く助けを必要としていることを認めたがらず、自分でなんとかしなくてはいけないと考えるものです。そのため、悩みがあっても友人や交際相手、医師になかなか相談しようとしません。男性が必要な治療を受けない理由はここにあるのかもしれません。うつの症状の中には、女性よりも男性に多く見られるものがあります。イライラする、突然怒りがこみあげる、だんだん歯止めがきかなくなる、無謀なことをする、攻撃的になる、などが男性によく見られるうつの症状です。また、男性のほうが女性に比べ自殺により死に至る傾向があります。
 男性は女性に比べて、他人に相談するよりもお酒や薬に頼る傾向があります。たいていの場合、これは悪い結果を招きます。仕事はうまくいかなくなり、飲酒により無責任になり迷惑で危険な行動をとるようになります。男性は、人間関係や家庭生活よりも仕事に重きを置きがちなので、これにより配偶者(パートナー)との衝突が起こる場合があります。こうしたことすべてが、うつ病になる可能性をさらに高めます。男女ともに言えることですが、日常生活におけるあらゆるストレスが、うつ病発症のきっかけとなり得ます。男性の場合には、特に次に挙げるような生活環境や出来事がうつの発症と関係しています。
 1.配偶者(パートナー)との関係:既婚男性の場合、結婚生活の問題が、うつに関連する問題の中で一番多いことが、これまでの研究で明らかになっています。二人の意見が合わないとき、男性は女性ほどうまく切り抜けることができません。口論をすると身体的にも苦しい思いをするので、男性は意見の不一致や難しい議論を避けようとします。そして男性は余計に引きこもるようになり、それがまた相手を刺激し、といった具合です。こうしたことは、二人の関係を破壊しかねません。2.性生活: 男性はうつになると身体に自信がなくなり、以前より性的魅力がなくなったと感じます。性行為をまったくしなくなる人も多くいます。また、少数の男性にしか見られませんが、抗うつ薬の中には性欲を減退させるものがあり、これも問題になる場合があります。しかし幸いなことに、うつが軽快するにつれて性欲や性交がうまくいくこと、性的満足感は改善していきます。3.失業と退職:理由がどうであれ、職場を去ることにはストレスが伴います。最近の研究では、失業した男性7人のうち1人までが、退職後6ヶ月以内にうつ病にかかることが示されています。うつになると、次の仕事につくのがさらに難しくなります。4.自殺:うつの発症は女性に多いですが、自殺で死に到る男性の数は女性の約2倍とされています。自殺既遂は離別や死別、離婚を経験した男性に最も多く見られ、大量飲酒者でも多く見られます。
 これらへの対処法として、心に大きなつまずきを感じたときは誰かに相談してみましょう。ちょっとした散歩でもいいので運動をしましょう。体調維持に良いですし、よく眠れるようにもなります。野菜や果物をたくさんとり、バランスのいい食事をするように心がけましょう。アルコールは、長期的にはうつ病を悪化させるので避けましょう。ヨガ、マッサージ、アロマセラピーなどのリラックス法を利用するのもいいでしょう。楽しめることを毎週ひとつはしてみましょう。生活習慣を見直してみましょう。うつになる人の多くは完璧主義者で、自分を追い込みがちです。現実的な目標をたてて、仕事量を減らしたほうがいいかもしれません。休暇を取りましょう。数日間、毎日の繰り返しから解放されることはうつに効果的です。うつについて書かれたものを読んでみましょう。うつに関する本やウェブサイトを見ればうつ病への対処法も載っていますし、友人や身内の人があなたに起きている状況を理解するのに役立ちます。
 うつ病を、脳内の化学的な変化によって起こるもの、あるいは過酷な世の中で生きていく上での避けようのない代価だと捉えてみるのもいいかもしれません。うつは弱さや臆病であることとはまったく関係ありません。うつは治療によってよくなります。回復のためには心理療法など、対話を通じて行われる治療法と薬物療法の両方が重要となってきます。まずは、かかりつけ医のところに行きましょう。どんな治療法がよいのか検討してくれますし、守秘義務に関して心配なことがあっても相談することができます。医師の診断書という形になったら、仕事でのチャンスを損なうのではないかと男性の多くが心配します。雇用主が特定の病気の診断があることだけを理由に解雇したり雇用を拒んだりすることは、一般に禁じられています。雇用主には、その人が病気による困難を抱えながらも仕事を続けられるよう職場のサポート体制を整えることが求められています。うつは身体疾患により引き起こされる場合もあるので、適切な健康診断を受けることが必要です。状態によっては、かかりつけ医より精神科専門医への紹介が望ましいこともあります。
(「日本語版こころの健康ガイド」より抜粋)

―待合室で読める本から―

「認知行動療法トレーニングブック」(医学書院) 大野 裕 著
近年ますます注目が高まっている認知行動療法の実践的テキスト。基本概念から実際の技法までバランスよく丁寧に書かれており、これから認知行動療法を学ぶ初心者はもちろん、すでに実践されている方にもお薦めで、手軽に自学自習が始められる教材となっています。
「スピリチュアリティの心理学」(せせらぎ出版) 安藤 治 湯浅 泰雄 著
 “スピリチュアリティ”とは、生の意味や目的を感じ求めようとする欲求が、現代人の心の奥底から湧きあがっており、すべての人に備わる力です。その探究は心理学の分野でも行われ、本書は「日本トランスパーソナル心理学/精神医学会」における議論や研究成果の一端が収められたものです。瞑想や今はやりのマインドフルネスについても言及されています。
「成人期ADHD診療ガイドブック」(じほう) 樋口 輝彦 齋藤 万比古 著
 ADHDの概念や現状、成人期ADHDの診断と評価法、成人期ADHDの治療指針、アトモキセチンの解説、包括的な支援のあり方についてコンパクトにまとめられており、個別のテーマについて詳しく調べることができる構成となっています。成人期のADHDについより理解を深めたいと考えている人が一読しても参考となる内容であります。
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