長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-5月号」不眠症−その1−

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コラム「LOUNGE-5月号」不眠症−その1−

(2014年05月08日掲載)
 1920年代はじめ、睡眠中の脳は目覚めているときほど活発ではありませんが、活動していることがわかりました。浅い眠りから深い眠りまで4つの睡眠段階が約90分という睡眠周期を保ちながら、徐々に浅い睡眠(レム睡眠)の割合が増してきます。体が起きていて大脳が鎮静化しているノンレム睡眠と脳は起きているレム睡眠を繰り返します。猫が伏せの状態で行儀よく眠っているのがノンレム睡眠です。大人ではレム睡眠中に記憶の整理や固定が行われ、夢をみます。レム睡眠中の寝言は、喜怒哀楽の感情を伴ったものが多く、ノンレム睡眠中は最近の出来事や今の状況に関するものがよく聞かれます。
 眠気を催す2大要因は、「睡眠物質」と「体内時計」です。目覚めている時間に比例して脳に睡眠物質のプロスタグランディンD2やアデノシンなどがたまり、だんだん眠くなってきます。また、真っ暗ななかで生活していても、人間は規則正しく眠ったり目覚めたりします。これは、体に組み込まれている体内時計のリズムに従って生きているからです。体内時計の周期に従って、夜に眠くなり朝には自然と目が覚めるリズムを「概日リズム」といいます。徹夜明けの朝は眠気が少ないのは、徹夜の間に睡眠物質がどんどん脳にたまりますが、朝になると体内時計による睡眠覚醒リズムで睡眠閾値が上がるため、起きていられるのです。
 ちなみに、体内時計は約25時間の周期で回っており、朝目覚めてからはじめて見た強い光によって、体内時計がリセットされますので、平日の寝不足を取り戻すために週末遅い時間まで眠っていると、このメカニズムが働かず体内時計が遅れたままになって、月曜日の朝につらい思いをします。昼食後に眠くなるのは、お腹が一杯になったからではなく、生体リズムによるものなのです。コーヒーやお茶が眠気を覚ますメカニズムは、睡眠物質と関連しており、コーヒーやお茶に含まれるカフェインは、睡眠物質アデノシンがアデノシン受容体にくっつくことを邪魔しますので、睡眠物質がたまっても睡眠中枢が働かず眠気を感じにくくなるのです。
 眠気は体温が下がるときに強くなるので、夕方から夜の軽い運動や入浴で体温を少し上げておくと、1〜2時間後に体温が下がって寝つきがよくなります。脳や内臓など体の奥の体温を「深部体温」といいますが、眠ってからもこの深部体温は下がり続けます。日中に酷使してオーバーヒート気味になった脳をクールダウンさせることが睡眠の目的でもあります。成長ホルモンも睡眠中に増えますが、「寝る子は育つ」とは本当のことなのです。年齢とともに「眠らせる脳」も老化して睡眠力が弱まるので、睡眠の質が悪くなります。深い睡眠が減って夜中に目が覚めやすくなり、再び眠ることも難しくなります。50歳を過ぎて、総睡眠時間が減少するのも自然なことなのです。
(参考図書:「不眠症の科学」坪田 聡著 ソフトバンククリエイティブ)

―待合室で読める本から―

「自分でできる“不眠”克服ワークブック」(創元社) 渡辺 範雄著
薬だけでは不眠が十分に良くならない患者のために、著者たちによって8週間で確実に効果の出る新しい精神療法が開発され、その「短期睡眠行動療法」を自分で行えるよう工夫された、書き込み式のワークブックです。
「不眠・過眠を治す81のワザ」(保健同人社) 河村 哲著
不眠や過眠などの睡眠障害を改善する第一歩は、睡眠環境の整備や生活習慣の見直しです。そこで、不眠や過眠に悩む人たちが日常生活でどんな工夫をしたのか、治療のきっかけは何か、その生の声を取り上げ、それに対する専門医のアドバイスにより解決に導く、学習本です。
「不眠症の科学」(ソフトバンククリエイティブ) 坪田 聡著
睡眠学の発展により明らかになってきた科学的な根拠にもとづく睡眠改善法を、「睡眠コーチング」を日々行っている著者がわかりやすく解説。睡眠学についての基礎知識から最新の研究による不眠改善方法まで、幅広く紹介しています。
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