長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-1月号」適応障害について

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コラム「LOUNGE-1月号」適応障害について

(2013年01月08日掲載)
 適応障害とは、ある社会環境においてうまく適応することができず、さまざまな心身の症状があらわれて社会生活に支障をきたすものをいいます。一般に、新しい環境に慣れて社会適応するためには、多かれ少なかれ苦労をしたり、いろいろな工夫や選択をする必要にせまられることはよくあることです。それがうまくいかなくなった場合には、会社では職場不適応、学校では不登校、家庭では別居あるいは離婚などといった形であらわれます。日常には大小さまざまなストレス因子があふれていますが、それらへの反応には個人差が大きく、ある人はやり過ごすことができても、別の人にとってはひどく苦しみに満ちた体験になる場合があります。その結果、うつや不安状態をきたし、従来はできていた責任の遂行などができなくなる場合があります。このような状態が「適応障害」にあてはまることがしばしばあるのです。
 症状としては、不安、抑うつ、焦燥、過敏、混乱などの情緒的な症状のほか、不眠、食欲不振、全身倦怠感、易疲労感、ストレス性胃炎、頭痛、吐き気、発熱、などの身体的症状が自覚症状としてあらわれますが、身体的症状のみを訴える場合、検査では確認できないため精神科・心療内科以外の病院では見過ごされることが多いようです。逆に、吐き気や頭痛などの症状があるにもかかわらず病院で異常なしと言われた場合、適応障害であることも考えられます。軽度のうつ病と区別がつきにくく、放置しているとうつ病になることもあります。適応障害がもとで発生する身体的な異常として、自律神経失調症や心身症などが含まれます。
 適応障害の治療は、まず原因となっている心理社会的ストレスを軽減することが第一です。環境要因を調整し適応しやすい環境を整えることや、場合によってはしばらく休職、休学して休養し、心的エネルギーを回復することが必要です。また、心理的葛藤に関してカウンセリングを受け混乱した情緒面の整理をすることや社会適応へ向けての心理的援助を求めることも大切です。そして、不安が続く場合は抗不安薬、うつ症状に対しては抗うつ薬の服薬など、それぞれの状態像に応じて薬物療法が有効な場合もあります。生活上の工夫としては、適度の休養をとったり、気分転換にこころがけたり、日頃からストレスをためないようにすることが肝要です。また、身近に適切な相談相手をもち一人でくよくよ考えないことや、人とのコミュニケーションにおいて、いかに自己実現するかというソーシャルスキルを身につけることも大切です。
 ちなみに、ストレス学説によれば、心理社会的ストレス(環境要因)と個人的素質(個人要因)とのバランスの中で、いろいろなストレス反応(心理反応、行動反応、身体反応)が生じますが、これらは外界からの刺激に適応するための必要な反応です。ところが、ストレスが過剰で長く続く時、個人がストレスに対して過敏である時に、このバランスがくずれてさまざまな障害をきたすようになります。適応障害の出現に関しては個人的要因が大きな役割りを果たしていますが、もし心理社会的ストレスがなければこの状態はおこらなかったと考えられることがこの障害の基本的な概念です。思い当たることのある方は、気が弱いとかだらしないと片付けてしまわずに、いちど精神科や心療内科を訪ねてみることをお勧めします。「適応障害」の特効薬があるわけではありませんが、状況全体をながめて問題となる要素を検討したり、症状にあわせて薬物を使ったりすることで、現実を大きく変えることはむつかしくても、過ごしにくさが変わっていく可能性があります。

―待合室で読める本から―

「わかりあえないことから─コミュニケーション能力とは何か 」(講談社現代新書) 平田オリザ 著
劇作家であり、阪大コミュニケーションデザインセンター教授である著者は、近代演劇では「対話」が重要視されると言います。コミュニケーションとは、自分の考えをうまく伝えるだけでなく、相手の声に耳を傾け、さらには、そこから何かが創造されることであると述べています。
「人間関係力〜困った時の33のヒント〜」(小学館101新書) 齋藤孝 著  
この本では、私たちが悩みがちな状況を具体的に設定し、その状況に活路を拓き、人間関係のストレスを減らすヒントを、宮本武蔵やチャップリン、ケネディ、マキアヴェリなど、33人の賢者の言葉を活かしながら提示しています。
「マンガでわかる人間関係の心理学」(ソフトバンククリエイティブ) ポーポー・ポロダクション
本書は心理学の側面から、人間関係の悩みがなぜ生まれるのか、それをどう解決すればよいのかをマンガでわかりやすく解説しています。対人関係の悩みがフッと軽くなります。
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