長崎の心療内科 もとやま心のクリニック [最新情報] 西日本芸術療法学会印象記 -いのちの流れを求めて-

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西日本芸術療法学会印象記 ―いのちの流れを求めて―

(2009年9月4日掲載)
 第38回西日本芸術療法学会が福岡(8月29日〜30日、会長:九州大学神庭重信教授)にて開催され、シンポジュウム「いのちの流れを求めて」にシンポジストとして参加しました。前年の長崎大会でのテーマ「つつむこと、つなぐこと、つむぐこと」で議論された生きることのありようを超えた“生きることの意味を見いだす“ことが意図されました。私の描画療法の立場からの報告に加え、連句療法(志村実夫氏)、箱庭療法(入濱直美氏)、音楽療法(西林淑子氏)の一線で活躍されている方のお話と討論で大変意義深い内容となりました。

 私たちは二つの現実を生きています。「氷が融けて水になる」という物理的なrealityと「氷が融けて春になる」という心的なactualityです。病む人は、疲れや痛みや苦しみや混乱の中にあるだけでなく、回復しようとする力も弱まっています。回復の妨げになっている多くのものは、見えないもの、言葉にならないもの、捉えることのできないものでしょう。芸術療法はそうした妨げを取り除き、少しずつ流れるように、いのちの流れを感じられるように模索することになります。「いのち」の働きに寄り添い、息吹を吹き込もうとするものです(荒木志朗)。

 学会後半の目玉は、北山修氏(九州大学)による特別講演「みんなのための創造性、相手のための創造性、自分のための創造性」でした。自らのフォーククルセイダーズでの活動を例にとり、自分のための、身近な相手のための音楽が、マスコミュニケーションにおける“みんなのための音楽”になった途端色褪せて興味がなくなったこと、“私のための創造性”がいかに必要なもので大人になるとその多くが失われてしまうこと、などについて語られました。私たちが幼少期のころ、お母さんだけにしか伝わらなかった、まだ言葉にならない言葉(喃語)が言葉になり、言葉を手に入れると世界との一体感を失ってしまうが、その代わり落ち着きを手に入れる話は、芸術療法のもつ治療的有効性の意味を考えさせるものとなりました。

 当クリニックでは、言語的治療はもちろんのこと、絵画、コラージュ、粘土など言葉を超えた療法についても今後準備していく予定です。その方にあった場をしつらえ、その人がその人らしくあれるように援助することは治療にとても大切なことであると考えています。
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