長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-4月号」健康な心を持つための考え方

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コラム「LOUNGE-4月号」健康な心を持つための考え方

(2018年4月2日掲載)

 4月になりました。今月から新生活をスタートされる方も多いと思います。進学、就職、転居、様々な理由で生活が変化する時期ですね。環境が変わると同時に対人関係も変わると思いますが、中にはこれからの生活をうまくやっていけるか緊張や不安を感じている方もいるのではないでしょうか。「人間の悩みはすべて対人関係の悩みである。」アドラー心理学の創始者であるアドラーの言葉です。対人関係はストレスの1番のもと、といっても過言ではないくらい、私たちは対人関係によって心の状態を左右されています。心の病を抱えると、それは対人関係にも影響を与えます。私たちは心が非常に落ち込んでいたり疲れていたりすると、他人に細やかな関心や愛情を向けてあげられなくなります。また、他人の何気ない一言を非常にネガティブにとらえがちになります。それだけ対人関係は私たちに影響を与えるものであり、重要なものであるといえます。

 しかし、すべての対人関係が重要なわけではありません。対人関係は大きく分けると3つのグループに分かれます。まず、自分にもっとも近い第1グループの「重要な他者」。家族や恋人がその対象です。その次に自分に近いのが第2グループの、親戚や親しい友人たち。もっとも遠い位置にあるのが第3グループの仕事上の関係者などです。「重要な他者」との関係には全力をそそぐことが望ましいですが、すべての人との関係を良くしようとして力を入れると、人は誰でも疲弊してしまいます。まず判断すべきなのは、今自分の悩みのもとになっている人が、どのグループの人なのか、第1グループなのか、第3グループなのか、自分と相手との距離感を見極めます。その結果、相手が第3グループの人ならば、関係の改善に努めるよりも、相手の言動に鈍感になる方が楽になります。「自分でできる対人関係療法」の著者である水島広子氏は、これらの3つのグループの人たちとの付き合い方について対処法を教えてくれています。

 第3グループの人との付き合い方:今の立場を離れれば基本的に縁がなくなるのが第3グループの人。自分の人生を圧迫しているかのような感覚があっても、しょせんはその程度の人だと認識し、相手の言動に鈍感になることが楽。第2グループの人との付き合い方:簡単には縁が切れない人たちではあるが、生活のすべてというほどでもない。関係改善に努めるか、相手の言動に鈍感になるか、疲れない方を選択すると良い。第1グループの人との付き合い方:家族、恋人が当てはまる。関係改善にもっとも力を入れるべき。

 中には、第3グル―プの人との関係を重視しすぎて、「重要な他者」である家族や恋人との関係を軽視する人もいますが、そうなると「重要な他者」との信頼関係が築けず、孤立感や孤独感を強めることになります。そんなときに仕事のストレスなどが重なると、そのプレッシャーに耐えられなくなり、心の病に発展する可能性があります。一方、「重要な他者」との信頼関係ができていれば、何かあったときに必ず味方でいてくれる人がいると安心することができ、心の健康を保つことができる、と水島氏は言っています。ストレスを消すことはできませんが、軽くすることはできます。その1つが今回お話した、考え方の工夫です。参考になれば幸いです。

(心理Aya.T 記)

―待合室で読める本から―

「女性のうつ病(よくわかる最新医学)」  野田 順子著  主婦の友社
思春期うつ、産後うつ、不妊うつ、更年期うつ、介護うつ、老年期うつ等に関し、乗り切るための知恵とコツ、最新の薬、病院の選び方、医師とのつきあい方、再発しないための方法まで、うつと診断されてから知りたい情報が網羅されています。
「こころのクスリBOOKS よくわかる森田療法 心の自然治癒力を高める」  中村 敬著  主婦の友社
人間の心と体が持つ「自然治癒力」を活かし、不安や心身の症状への行き過ぎた「とらわれ」を捨て、「あるがまま」に生きることを重視する森田療法を分かりやすく紹介しています。
「パニック障害の不安がスッーと消え去る17の方法」  弥永 英晃著  大和出版
パニック障害では、薬物療法、認知行動療法、暴露療法、発作時の対処法、リラックス法などの治療を複合的に組み合わせることが大切です。自身も苦しみ、克服し、後にカウンセラーとなった著者が、その経験から得た「心・身体・遺伝子に働きかける」メソッドを紹介しています。
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