長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-11月号」温泉(入浴)の気分への効能

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コラム「LOUNGE-11月号」温泉(入浴)の気分への効能

(2017年11月1日掲載)

朝起きると憂うつで身体が重く、会社に行くのもつらく、このまま引きこもりたいと思うことはありませんか。人それぞれ様々な悩みやストレスを抱えているものです。現代のサラリーマンは軽うつ状態の人も非常に多く、そんな時はどこかで『ガス抜き』をしておかないと、心の病になってしまいます。スポーツをして身体を動かすことは大変よいのですが、『スポーツする気力すら起きない』無気力状態になる時もあります。責任感がある方や、まじめな人・NOと言えない人・几帳面・神経質な人ほど定期的にガス抜きをしておく必要があります。精神的に疲れきった時は『温泉に行って心と身体を休める』ことが一番です。温泉に入ることで、悩みやストレスの『根本的な解決』には至りませんが、一時的に温泉で休養することで様々な効果が期待出来ます。

 一般に温泉にはさまざまな効能があります。温泉と転地効果との相乗効果で、心身ともに癒されます。ただ、うつ病の急性期には、温泉に関わらず、旅行など遠出は避けた方がよいようです。うつ病で心のエネルギーが枯渇している時に旅行に行っても楽しむことができず、大変疲れるので、かえって逆効果となりかねないからです。気分的に安定してから温泉旅行を楽しむことが大切です。うつの状態が思わしくないときは、入浴すること自体でエネルギーを消耗し、リラックスできる場にならない時期もあるかと思います。しかし、少し努力してみれば入浴できるくらいになったら、入浴前は億劫で苦痛な気持ちが強いかも知れませんが、入浴すること自体が気分転換になって、リラックスにつながるケースも考えられます。体を清潔にすることは、心身両面へのリフレッシュにつながります。

入浴で得られる作用として、リラックスすることでの効能があります。多くの方が温泉地を「のんびりしたい」「ゆっくりしたい」という理由で訪れるのも、温泉にリラックス効果を求めるためです。入浴すると、「気持ちいい」「癒される」「疲れがほぐれる」など、多くの方がおっしゃいますが、要するに「心身がリラックスできる」という事です。これは入浴によって、自律神経のバランスが整えられるのです。自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があり、この2つの綱引きによって自律神経はバランスを保っています。交感神経は「緊張の神経」であり、集中している時や興奮している時などに高まります。心拍数や呼吸数を上げ、瞳孔を開き、覚醒度を高めます。緊張時は食事をしている場合ではないので胃腸の動きを下げます。副交感神経は「リラックスの神経」であり、休憩中や睡眠中などに高まります。心拍数や呼吸数が下がり、覚醒度は下がります。リラックス時は食事や排泄などを行いやすいため胃腸の動きも活性化し、排尿・排便も促されます。ストレス社会と言われている現代では、交感神経が高まりすぎている方がたくさんいらっしゃいます。仕事や勉強などの作業中に交感神経が高まっている事は問題ありません。しかし休憩時や夜間の睡眠時にも交感神経が高まっていると、心身は休むことが出来ず、いつかは疲弊してしまいます。このようなケースでは、意識的に副交感神経を活性化させてあげないといけません。その方法の1つとして温泉(入浴)が有効なのです。

―待合室で読める本から―

「フォーカシング ワークブック」  近田輝行・日笠摩子編著 日本精神技術研究所
フォーカシングの基本的な考え方を解説した上で、それを「身につける」ために必要な具体的なワークを多数収録したワークブックです。間をとる工夫、インタラクティブ・フォーカシング、夢のフォーカシング、ホールボディ・フォーカシング、TAEなど、フォーカシングのすべてが分かります。
「なぜ私だけが苦しむのか」  H.Sクシュナー著  岩波新書
幼い息子が奇病にかかり、あと十余年の命と宣告される理不尽と思える不幸に見舞われたユダヤ教の教師が、自らの悲痛の体験と旧約聖書からの学びをもとに書かれた、人生の不幸を生き抜くための叡智と慰めに満ちた本です。
「スピリットとアロマテラピー」  カブリエル・モージェイ著  フレグランスジャーナル社
『スピリット』という視点からアロマテラピーをとらえた本書は、精油がおよぼす深遠な心理作用に焦点を当てています。香りがもたらす気分への明らかな作用は、緊張と焦燥感、沈んだ気分をやわらげる助けになります。
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