長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-2月号」こころの補完代替療法

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コラム「LOUNGE-2月号」こころの補完代替療法

(2016年02月08日掲載)
 精神医学、心身医学、臨床心理学の分野において、通常の療法に補完代替療法(Complementary and alternative medicines; CAM)を併用することで本来の自然治癒力を高め、心身のバランスの回復を図り、生きる力が引き出されます。こころの健康の問題に適した補完代替療法が用いられ、そのうちのいくつかは比較的、効果が見受けられます。その治療が安全で、かつ他の治療の妨げにならないのであれば、回復に有益なものは試してみてもよいでしょう。補完代替療法の多くはうつや不安、不眠症の治療分野で行われています。そのいくつかを紹介いたします。
 鍼治療は細い糸のような鍼(針)を皮膚の上から刺して刺激を与える治療です。古典的な中国由来の鍼治療はエネルギーの道筋、いわゆる「経絡」に沿って鍼を打ちます。鍼治療の理論では、エネルギーの乱れが病気の原因とされており、この乱れを回復させることを目的としています。鍼治療の強度は、鍼を刺す場所、深さ、刺したままにしておく時間、鍼の数、治療セッションの回数によって異なります。刺した鍼に手による刺激を加えたり、電気刺激を加えることにより、強度が増します。こころの健康の問題のうち、鍼治療が有効なのは、不安、うつ、ストレス過多、睡眠障害などが治療の対象となります。たとえば、鍼治療により不安は軽減すると考えられています。抜歯の痛みやアルコール依存からの離脱、がん治療などに対する鍼治療の効果について、様々な研究が行われています。鍼治療はこういった状況にある人の気持ちを落ち着かせることにより効果を現します。
 アロマセラピーは植物由来のオイルに含まれる癒やしの成分を用いています。アロマセラピーに使うオイル(エッセンシャルオイル)は、「キャリアオイル」で希釈されて用いられます。オイルは、オイルバーナーで蒸発させて香をゆらしたり、入浴時に浴槽に落したり、スキンマッサージに使われます。エッセンシャルオイルのアロマの香りは嗅覚を刺激します。エッセンシャルオイルを用いたマッサージは、緊張を和らげながら血液循環を良くしていきます。マッサージによりオイル分子が血液中に流れ込み、身体の隅々からやがて神経系に至るとアロマセラピストは考えています。一般的にアロマセロピーは、リラクゼーション、睡眠の改善、痛みの軽減、うつの改善を目的に利用されます。アロマセラピーはそれほど強く作用しないため、従来の治療法に加えて補完的に行ってみるのが最適です。アロマセラピーは安全ですが、妊婦やてんかんをもつ方、乳幼児には使用してはいけないオイルが何種類かあります。アレルギーを誘発したり、光線過敏性を増加するようなオイルもあります。
 ヨガは5000年以上の歴史がある技術です。「ヨガ」はサンスクリット語で「融合」を意味します。スピリチュアルな面と体のエクササイズを通して、こころと体を癒します。ヨガのポーズはその人にマッチするようにバランスが取れていなくてはなりません。ヨガには気持ちを落ち着かせ、リラックス効果があり、いらだった気分を和らげます。ヨガは不安やストレスに有効でしょう。リラックス法(筋弛緩法)は、通常、動揺や興奮を押さえるために用いられます。技法としては、漸進的筋弛緩法(PMR; progressive muscle relaxation)があり、いろいろな筋肉群を緊張させたり緩めたりします。PMRは筋肉の張りからくる苦痛に効果がある他に、不安と緊張を和らげます。自律訓練法という技法もあり、自己暗示をかけながら、呼吸や心拍数、筋肉の緊張をコントロールします。
 瞑想などスピリチュアリティによる技法は、こころと体に関する様々な問題に有効です。信仰に基づいた活動で健康を取り戻すことができるでしょう。反して瞑想は、こころの健康に影響してきますし、時として悩みや不安で心が弱まっている方々には、精神的ダメージを与えてしまう可能性すらあります。精神疾患を患っている方は注意してこれらの技法を使用すべきです。また、リフレクソロジーの原理では、足、手、耳にある特定部位と体の系統や臓器が対応しています。病気は、体のバランスの崩れにより、エネルギーがうまく流れていないことの表れと見なされます。特定部位をマッサージすることで、正常なエネルギーの流れとバランスが回復します。リフレクソロジーによって、リッラクスでき、体調が良くなったと実感し、不安や不眠、ストレスを和らげてくれるかもしれません。症状が重い場合には、リフレクソロジーはさほど効果が期待できないかもしれませんが、従来の治療に合わせると有益な追加治療となることもあります。
(「日本語版こころの健康ガイド」より抜粋)

―待合室で読める本から―

「子どもの精神分析的心理療法の経験」(金剛出版) 平井 正三 著
 著者が1990年から1997年まで滞在した、ロンドンのタビストック・クリニックでの子どもの精神分析的心理療法の訓練経験について書かれたものです。その訓練の実際、クライン派の子どもの精神分析的心理療法が懇切丁寧に解説されています。
「精神科医はどのように話を聴くのか」(平凡社) 藤本 修 著
 精神科医の聴く技術について、何を考えて患者さんの話を聴き、どのように受け止めているのかを、精神科医である著者が診療に即してその秘密を公開しています。読者が家族や友人、上司や同僚をより深く理解していくことにも役立ちます。
「ひきこもり救出マニュアル」(ちくま文庫) 齋藤 環 著
 思春期・青年期の精神病理が専門で、「ひきこもり」治療に詳しい著者が、具体的な事例をもとに、Q&A方式で、ひきこもりから抜け出す手だてを示しています。当事者や家族、支援する専門家などの関係者にとって参考となる一冊です。
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