長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-12月号」季節性感情障害(SAD)について

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コラム「LOUNGE-12月号」季節性感情障害(SAD)について

(2014年12月08日掲載)
 季節の移り変わりが人間の気分に影響を及ぼすということは、何千年も前から知られていました。にもかかわらず「季節性感情障害(Seasonal Affective Disorder; SAD)」という言葉が初めて登場したのは1980年代になってからのことです。SADとは、秋から冬にかけて、きまって気分の落ち込みが見られる障害のことです。SADはうつ病の一種で、秋または冬に抑うつが始まり、春や夏になると治まるという特有のサイクルを繰り返します。このため「反復性冬季うつ病」と呼ばれることもあります。
 SADにみられる症状の多くは、季節性ではない普通のうつ病と同じですが、普通のうつ病とは少し異なる症状もあります。非季節性のうつ病においては、眠れなくなり食欲もなくなるのが一般的ですが、SADの場合は、睡眠時間が長くなり食欲も増すことが多いです。SADになると、冬の間、朝起きるのがとてもつらくなり、日中にも眠気を感じることが多くなります。またチョコレートや白パン、甘いお菓子といった高炭水化物の食品が食べたくてたまらなくなることがあります。SADを持つ人は運動量も低下しがちなため、冬に太りやすくなります。
 SAD型のうつ病は春になると回復します。そしてSADを持つ人の約3分の1が、春から夏にかけて気分がやや高揚した状態(軽躁状態)になります。女性のほうが男性より約3倍罹りやすいといわれています。子どもや年配者がSADになることもありますが、きわめて稀です。赤道近くに住む人が罹ることは少なく、赤道から離れるほどSADを患うリスクは高まります。冬になると、多くの人に軽い疲労感や睡眠時間の増加、体重の増加といった体調の変化が見られます。動物の冬眠に少し似ています。しかしこうした症状が日常生活に支障をきたすようならば、それはSADであると考えられます。英国では100人に3人が深刻な冬季うつ病に悩まされています。
 単に冬場の日照時間不足が原因であると考えられています。現代の生活では屋内で過ごすことが多く、日光に当たる時間が少なくなっています。光が不足すると脳内でセロトニンの分泌が減り、そのためにうつ病になりやすくなると考えられています。SADの症状の中には、さらなる問題を生んで「悪循環」を引き起こし、症状を悪化させるものがあります。いつも疲れていて、何もしたくなくなります。運動不足がさらにうつを悪化させることがあります。食べる量が増え、太ってしまいます。眠気、やる気のなさ、イライラといった症状は、家庭や交友関係、仕事の上でのトラブルの元になりかねません。また、やるべきことがあってもそれに取り掛かかることができず、さらなるストレスを感じることがあります。
 SAD への対策として、日照時間の短い時期にはできるだけ屋外に出て、日光に当たりましょう。普段から行なっている運動を続けましょう。よく日に当たれるよう、屋外で行なうのが最善です。ライトボックス(人工光)を使用して、冬季の日照不足を補う方法もあります。照射される光は太陽光に似ていますが、紫外線は出ないので肌や目に害がありません。また、一般的に抗うつ薬が有効です。疲労感や眠気が増す薬は避けるべきなので、こうした副作用の少ないSSRIという種類の抗うつ薬が主に使われています。SADの場合、秋に抗うつ薬を飲み始め、春になったらやめるのが一般的です。
(「日本語版こころの健康ガイド」より抜粋)

―待合室で読める本から―

「昔話の深層 ユング心理学とグリム童話」(講談社+α文庫) 河合 隼雄 著
ユング心理学派の第一人者によるグリム童話の解釈です。人間の魂、自分の心の奥にあるもの、そして生と死、親と子、父と母、男と女、もう一人の自分が、グリム童話を読み解くことで、まったく新しい顔を心の内にのぞかせます。
「心の扉を開く」(岩波書店) 河合 隼雄 著
 小説から児童文学や絵本まで、人間の心の深淵、奥深い闇を見据えたすばらしい作品の数々を取り上げ、感銘を与える本の隠された秘密を読み解くとともに、そうした本に触れて感動するという体験の大切さが説かれています。人間理解を深めると同時に、人生を豊かにする喚起力ある一冊。
「フロイトで自己管理」(角川書店) 齋藤 孝 著
 現実や自分自身と向き合い、悩みや困難を乗り越えていくための実践的な方法を、フロイトの理論や人生から学びます。自分で自分をコントロールし、モチベーションを高めていくための、手法やヒントが満載です。
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