長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-5月号」恐怖症とパニック障害

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コラム「LOUNGE-5月号」 ―恐怖症とパニック障害―

(2012年5月11日掲載)
 「不安」とは、特定の対象に対する恐怖心ではなく、そこに居ることそのもの(存在すること)への恐怖や自分がなくなることへの気分であります。一人では安心しておれなくなり、誰かに居てもらうことで落ち着きます。たとえば、女性に多くみられる「恐怖症」では、家を離れること、店や雑踏および街中に入ること、バスや列車や飛行機で旅行することなどに対する恐怖が襲ってきます。この場合、家での空間は安心できるものであり、そこから離れることや誰も頼れるもののいないところで一人になることへの恐怖が常に存在します。ちなみに、母親や夫と伴に出かける場合は比較的遠くへ行けます。生育史的な特徴に分離不安という、安心できる母親対象から離れて存在することへの恐れが読み取れます。
 一方、何らかの特別な状況に限定されない、予知できない突発性の不安があります。これが1ヶ月以上にわたり繰り返されると「パニック障害」へと発展します。動悸、息苦しさ、死への恐怖などがいきなり襲ってきます。ほんの数分感に満たないものであっても、また発作が起こるのではないかという恐れ(予期不安)から、外出が困難になり社会生活が制限されます。映画館や美容室、乗り物を避けるようになります。次第に生活の制約が増え自信をなくし、抑うつ的になることもあります。
 どちらのタイプの不安障害においても、治療としては薬物療法を中心に精神療法を組み合わせることが有効です。まず、パニック発作が起らない状態を確保するには、うつ病でも用いられるSSRIが第一選択となります。発作の予防という点でも有効性の高い薬です。効果が安定するまでに2週間以上要しますので、即効性の期待できる抗不安薬を併用します。そして、パニック発作が生じた際、あるいは生じそうな状態の場合には、短時間型の抗不安薬の頓服が有効です。服薬により発作が消失し、生じたとしても服薬で対処できることが実感されると、自信となり予期不安が減りますので、これまでの日常生活を取り戻すことができるようになります。その後は状態が安定し、症状の再燃がないことを確認しながら、ゆっくりと薬を減量し、最終的には服薬が不要になります。
 また、多くの方は発作の苦痛と恐怖のために生活が消極的になり、身体の変調に過敏に反応します。そうすると些細な体調の変化に対し不安のスイッチが入り、発作の準備段階となり、強い緊張が襲います。この悪循環を断ち切るために、不安への心の持ちようや生活範囲の拡大の仕方について細かな配慮が必要です。焦って行動をいきなり拡大して、思わぬ痛手を被ることのないような慎重さも肝要です。

―待合室で読める本から―

「あなたに合う睡眠薬と精神安定剤」(法研) 福西勇夫著
不眠のタイプを分類し、状態に合った睡眠薬の選択を促します。薬に対する偏見を取り除き、安心して服薬できるようになる一冊です。
「心のストレスが消える処方箋 幸せ脳内物質セロトニンを増やすための実践10か条」
(宝島社) 別冊宝島

脳のストレスを消すには、幸せホルモンといわれる「セロトニン」の分泌を増やすことが大切。本書では、セロトニンを増やすためにすべき実践方法を10か条にまとめ、誰でも簡単に実践できる方法を提案します。
「こんなワタシが働く「お母さん」!?−パニック障害といっしょ。」(イースト・プレス) 青柳ちか著
妊娠中に、パニック障害になったお母さんの子育てコミックエッセイ。
頑張らなくても何とかなるというユーモアのある心温まる内容になっています。
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