長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-10月号」 復職にあたって配慮すること

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面接室からのたより

コラム「LOUNGE-10月号」 ―復職にあたって配慮すること―

(2011年10月4日掲載)
 心身ともに良い状態となり職場に戻る段階において、いきなり通常勤務を希望される方がおられます。多くの場合、休んでいたのだから、これまで周囲に相当迷惑をかけたので、早期に頑張って業績を取り戻したいという気持ちの現れであります。ところが、この段階では頭で考えるようには「からだとこころ」は動いてくれないのです。大切なのは、再燃を防ぎながら着実に業務に戻ることです。ではどのような配慮がなされるとよいのでしょうか。
 職場の制度として「試し出勤制度」の設けられているところでは、より早期に職場復帰の試みを開始することができます。例えば、出勤時間と同様の時間に図書館などで時間を過ごし、軽いスポーツをして自宅に帰るという通勤訓練を経て、本来の職場に一定時間継続して出勤することが考えられます。この場合、人事労務管理上の位置づけについてあらかじめ話し合われていることが肝要です。
 また、職場復帰は元の慣れた職場へということが原則ですが、労働環境や上司との対人関係などを契機として発症した場合は、配置転換や異動を考慮した方が良いこともあります。この辺りのことについては、主治医の職場復帰に関する診断書を元に、健康管理室の産業医や保健師、そして職場の上司を含めた話し合いが求められます。
 先日、「うつとストレスに関する健康講座」を地域の皆様を対象として講演させていただきました。様々なご質問の中で、職場で「うつ」らしき人に対して、どのように接すると良いのかわからないという声がありました。ここには、病気理解はもとより、職場のコミュニケーションのあり方への戸惑いが反映されているようでした。自らがうつになって初めて、理解できたという方がおられましたが、やはり組織としての取り組みに加え、職場内での一対一での「ここだけの話」が可能な場が必要だと思います。
 うつや職場不適応は、治すべき病気という捉え方ではなく、その状態を来した背景に関心を向けることにより、ご本人だけでなく家族も大きな収穫が得られますし、延いては会社組織全体においても、そこに働く人達においても、他者への関わり(コミュニケーション)のあり方を見直す貴重なきっかけとなるのです。

―待合室で読める本から―

「40歳からの適応力」(扶桑社) 羽生 善治 著
「不惑」を迎えた名人が著す、生き方の処方箋。羽生名人の40歳からの「哲学」をまとめた一冊は、「中年以後」に向かおうとする方に具体的な示唆と勇気を与えてくれます。
「マジメすぎて、苦しい人たち―私も、適応障害かもしれない」(WAVE出版) 松崎 博光 著
クヨクヨしない、へこみにくい、小さなことで不安にならない性格を作り、「適応障害」を乗り越えるための具体的方法を解説。ハッキリと確定できるストレス因子が「適応障害」の最大原因。誰もがなりうる疾患ですが、きちんと治療すれば必ず完治します。
「誰にも書けなかった復職支援のすべて」(日本リーダーズ協会)
秋山 剛 監修 / うつ病リワーク研究会 著

 リワークプログラムの紹介から始まり、うつ病におけるリハビリテーションの必要性とリワーク研究会の活動、再発を防ぐ心理教育、リハビリ出社・試し出勤の扱い方、軽減勤務の扱い方など具体的かつ詳細に述べられています。
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