長崎の心療内科 もとやま心のクリニック コラム「LOUNGE-6月号」 “ねむり”のはなし

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コラム「LOUNGE-6月号」 ―“ねむり”のはなし―

(2011年6月6日掲載)
 始業時間を早めて就業時間を前倒しする「サマータイム」が1日、全国の企業で始まっています。日本では戦後まもなく5年ほど実施され、評判が悪いため廃止されていましたが、エネルギー問題が再燃し、長崎でも全国規模の企業を中心に実施されているようです。仕事から早く解放され、プライベートの時間が増えるのは確かなので、「仕事以外の生活を楽しむ好機」と思えば、爽快な気分になれるというメリットはありそうです。
 ところが、「早寝早起き」と一見よさそうに思えるのですが、夏時間により起床時刻は1時間早まります。これにより生活リズムの乱れが生じ、日中の眠気が一時的に増します。その際、頑張って夜まで覚醒を保つと、早めに眠気が来るので就寝時間も早めにします。そうすると1週間ぐらいで眠気が消え生活リズムの位相が前進した状態で安定します。
 さて、私たちは何時間程度眠ればよいのでしょうか。これには個人差があるようです。年をとるほど短時間で朝型に移行してくるのが一般的ですが、短時間で済む人と長時間必要な人がいます。恒常的にストレスにさらされている人はレム睡眠が長く、これによってこころのバランスをとっていることも考えられます。よく復職間もない人で、夢見が多くなったという報告を聞きます。奇妙な内容で不安な感情を伴うようなストーリーであることが多いようです。
 また、睡眠は気分の状態と密接に関連しており、うつ状態からくる仕事中や勉学における記憶力の減退(物忘れ)は、睡眠をまず改善させることで、昼間の覚醒度が上がり、ミスも少なくなります。反対に気分が高揚する躁状態では、寝るのがもったいないと感じ、平気で徹夜作業をしたり、夜遊びを続けたりなどの行為面での問題が出てきます。気分の問題は、睡眠の質に配慮することが肝要です。心療内科の診察において、眠りについての質問が多くなされているのは、このような理由からなのです。

―待合室で読める本から―

「睡眠の科学」 (講談社) 櫻井 武 著
 睡眠を科学し、“人生の3分の1もの時間を費やしてまで、ヒトはなぜ眠らなければならないのか”の問いを解明してくれる、読み物としても面白い一冊。
「快適睡眠のすすめ」(岩波新書) 堀 忠雄 著
 快い眠りは健康で充実した生活の必要条件であるにもかかわらず、不眠を訴える人は多くみられます。眠気のリズムを知り,昼間の過ごし方、リズムを乱しておこる障害や効果抜群の昼寝やサバイバル睡眠法も紹介。
「脳に効く睡眠学」(角川新書) 宮崎 総一郎 著
 日常生活での眠りに関する情報が盛り沢山です。たとえば、脳は睡眠中に記憶の整理と定着を行なっていますが、このメカニズムを理解することで「勉強したことが記憶に残りやすい眠り方」などを解説しています。
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